『カタルーニャ』独立問題の経過とその影響
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『カタルーニャ』は、スペインに17ある自治州の1つで、スペインのGDPの約2割を占めています。また、州都バルセロナなどには多くの企業の拠点があります。スペインが財政力の弱い地域を支援する政策をとっているため、経済的に発展し、財政力が強い『カタルーニャ』の住民の不満が高まっていることが独立問題の背景となっています。特に2010年以降は、独立を求める声が高まっており、大規模なデモや住民投票が行われています。 |
【ポイント1】10月の住民投票の結果、『カタルーニャ』は独立を宣言
スペイン中央政府は独立を認めず、州政府全閣僚を解任、州議会を解散
■10月1日、『カタルーニャ』でスペインからの独立を問う住民投票が実施されました。中央政府による投票阻止の動きもあり、投票率は4割強にとどまりましたが、独立賛成が約9割となりました。そして10月27日、『カタルーニャ』州議会は独立を宣言する議決案を可決し、国際社会に対して「カタルーニャ共和国」の承認を求めました。
■スペインでは、州の独立は憲法で認められておらず、『カタルーニャ』の一連の行為は違法行為であるというのが、スペインの中央政府の立場です。スペイン政府は、憲法にのっとった手続きで『カタルーニャ』州政府の全閣僚を解任し、『カタルーニャ』州議会は解散されました。今後は、全議員を選び直す州議会選挙が12月21日に実施される予定です。
【ポイント2】欧米各国の首脳も『カタルーニャ』の独立を認めず
欧州各地にある分離独立問題への影響を懸念
■欧州各国や米国の首脳は『カタルーニャ』の独立宣言に否定的な姿勢を示しています。一方、『カタルーニャ』と同様に分離独立問題を抱える英国のスコットランドは、『カタルーニャ』の独立宣言に対し、理解と尊重を示す声明を発表しました。
■欧州には、スコットランドをはじめ分離独立問題を抱える地方がいくつかあり、『カタルーニャ』の独立問題ではこれらの地域への影響も懸念されています。
【今後の展開】経済成長率が下方修正されたが、ユーロ圏経済への影響は限定的
■スペインでは、今回の独立問題を巡ってデモやストライキなどの混乱が続いています。10月中旬には、すでに約700社の企業が『カタルーニャ』州外への登記移転をしたと見られると報じられたほか、観光業の落ち込みなど、経済的な影響も懸念されています。こうした影響を鑑みて、スペイン政府は2018年の経済成長見通しを前年比+2.6%から同+2.3%へと下方修正しました。ただし、スペインのユーロ圏全体に占めるGDPのシェアは約10%と、ユーロ圏経済全体に与える影響は小幅なものにとどまりそうです。
(2017年 11月 7日)
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