力強さを欠く『物価』、今後の変動要因は?

<今日のキーワード>力強さを欠く『物価』、今後の変動要因は?

日本経済は持続的に『物価』が下落する「デフレ」から脱却したと言われています。日銀は、2%の物価安定の目標を掲げて金融緩和を推し進める中、良好な海外景気も手伝って、日本経済は「いざなぎ景気」を超えて長期の景気拡大局面にあります。一方、今年は8月、10月と長雨による天候不順に見舞われました。今後は、10月の台風の影響が懸念されるものの、中長期では賃上げによる『物価』の上昇が期待されます。

【ポイント1】9月の消費者物価指数は前年同月比+0.7%

日銀の2%の物価安定の目標に向けては引き続き力強さを欠く

■10月27日に発表された9月の消費者物価指数は、前月と同じく前年同月比+0.7%でした。消費者物価指数は2016年4月~9月まで、6カ月連続で同マイナスに落ち込んだ後、同プラスの水準を回復し、足元までに徐々に上昇率が高まってきています。基調的な『物価』は持ち直しつつありますが、日銀が掲げる2%の物価安定の目標に向けては、引き続き力強さを欠いている状況です。

 

【ポイント2】財価格は上昇、サービス価格は低調

台風により野菜価格への影響も懸念される

■『物価』の動向を品目別に見ると、エネルギー価格の上昇や電気炊飯器などの家庭用耐久財の価格上昇を受けて、財の価格は上昇しました。一方、指数に占める割合の大きいサービス価格は前年比で横ばいとなるなど価格動向は
低調で、消費者物価指数全体では小幅な上昇にとどまりました。

■身近な『物価』動向の代表例である野菜については、今年8月の天候不順の影響で一時価格が上昇しましたが、その後の天候回復を受けて、価格は落ち着いています。

 

 

171031MK

 

 

 

【今後の展開】天候は安定する見込み、中長期では賃上げにより物価は上昇へ

■10月は台風21号と22号が相次いで日本列島を襲い、野菜価格への影響が気になります。しかし11月以降は、時期的に台風の接近が減少すると見込まれる上、気象庁が発表した今年11月~来年1月の3カ月予報では全国的に平年並みの気温が予想されており、野菜など食品価格への大きな変動はなさそうです。

■ただし、日本経済は「いざなぎ景気」を超えるなど景気は拡大中にあり、人手不足などから幅広く値上げが実施されつつあります。衆議院選挙後、安倍首相は「3%の賃上げ」を期待するとの考えを示しました。今後は、これまで以上の賃上げ実現により、消費の活性化とともに『物価』の上昇が考えられます。

 

 

 

 

(2017年 10月 31日)

印刷用PDFはこちら↓

力強さを欠く『物価』、今後の変動要因は?

 

関連マーケットレポート

2017年10月24日 『衆議院選挙』の結果と今後の展望

2017年10月12日 『街角景気』、現状の基調判断を上方修正

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会