米『ベージュブック』、緩やかな利上げを支持

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『ベージュブック』は、米国に12ある地区連邦準備銀行(地区連銀)が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことで、表紙のベージュ色が名前の由来です。『ベージュブック』は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。今回は引き続き物価安定のもとでの順調な景気拡大が報告されました。

【ポイント1】経済活動に関する評価は、「緩やか、ないし緩慢なペースで拡大」

前回9月の報告から大きな修正はなし

■10月18日に公表された最新の『ベージュブック』は、「9月から10月初旬にかけて地区連銀が管轄する12地区の経済活動は、いずれも“緩やか、ないし緩慢”なペースで拡大」と総括しました。 9月6日公表の前回報告と、ほぼ同じ評価です。

■米国南部を襲った大型ハリケーンについては、アトランタ地区から運輸、エネルギー、農業など一部のセクターで影響が見られたとの報告がありました。

 

【ポイント2】労働需給逼迫にもかかわらず、賃金上昇は引き続き緩慢

原材料価格は上昇しているが、最終財への価格転嫁は進んでいない

■内容を詳細に見ると、ほとんどの地区で個人消費は緩慢な増加、製造業と非金融サービスは緩やかな拡大と評価されました。製造業は、前回に比べ拡大のペースが僅かながら加速したもようです。

■住宅・商業用ビルの建設は小幅に増加、商業銀行の資金需要は全般的に安定していました。ともに前回と同様の評価です。

■労働市場では、引き続き需給逼迫が指摘されました。特に、建設、運輸等で、労働力の不足が顕著でした。労働需給の逼迫にもかかわらず、賃金の上昇圧力は前回同様、限定的でした。

■物価は、原材料価格が上昇したものの、最終財価格への転嫁は進んでいないもようです。

 

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【今後の展開】利上げは緩慢なペースで進められよう

■今回の『ベージュブック』は、景気の緩やかな拡大、賃金・物価の緩慢な上昇という状況に変化のないことを示唆する内容でした。前回FOMC議事要旨の内容と合わせて考えると、10月31日~11月1日に開催される次回FOMCでは、政策金利は据え置かれる可能性が高いと考えられます。

■米国の景気が拡大基調を維持しているため、利上げは継続されると考えられます。もっとも、物価上昇率が低い水準にとどまっていることを踏まえると、そのペースは緩慢と予想されます。今後、国債利回りは落ち着いた推移、株価は景気、業績の拡大ペースに沿った動きになる見通しです。

 

 

 

(2017年 10月 23日)

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