アジア株式市場の見通し 堅調な推移が続くと期待されるアジア株式市場

アジア株式市場の見通し 堅調な推移が続くと期待されるアジア株式市場

 

【ポイント1】良好な経済・企業業績と安定した資金フローが下支え

 

■アジア株式市場は総じて堅調な推移が続いています。背景として良好な経済・企業業績と安定した資金フローが下支えしていると見てとれます。

■米国からの証券投資を見ると、欧州とその他アジア、ラテンアメリカへの株式投資が増加しました。こうした資金の流れは、地政学リスクやトランプ政権の不安定化による先行き不透明感の高まりや米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の正常化によって、一時的に鈍る可能性があります。リスクは燻っていますが、世界経済の拡大がアジアにも広がる流れは2018年も続くと予想され、資金フローが大きく逆流する可能性は小さいと考えられます。

 

 

 

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【ポイント2】主要国で異なる増益要因

 

■FactSetによれば、アジアの企業業績は改善が続いており、2019年まで2桁の増益が見込まれます。足元の業績回復は中国経済が堅調であることが影響していますが、主要国を見るとそれぞれ様相が異なります。

■中国の2017年の1株当たり予想利益の増益率(以下、増益率)は前年比+18.6%です。インフラ投資の拡大や環境規制の強化等により需要が生まれている素材セクターが好調ですが、けん引役はエネルギーやIT(ハードウエア)など、前年の減益から急回復を見せている業種です。

■インドの2017年の増益率は+11.3%と予想されていますが、2018年は増益率がさらに高まると見られます。物品・サービス税(GST)の導入による不透明感から企業行動が慎重となる局面がありましたが、今後は、これまで融資量が低迷していた銀行セクターの業績改善や消費関連セクターの回復が期待され、2018年にかけて+18%強へと増益率が拡大する見込みです。

■インドネシアは、2017 年が+ 14.9 % 、2018 年が+13.2%と安定した利益成長が予想されます。消費関連の好調さに加えて、公共投資の拡大から資本財セクターの成長が加速すると期待されます。国内経済は既に堅調な状況ですが、物価上昇率が安定している上に、中央銀行が過去2回、予想外の利下げを行ったことも今後の企業業績にとってプラスに作用すると考えられます。

 

 

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【今後の展開】地政学リスクは限定的で、堅調な推移が続こう

 

■当面は地政学リスクに注意が必要です。北朝鮮リスクは、太平洋へのミサイル発射など米国や北東アジアでの緊張感と世界的なリスクオフの流れが強まることで、間接的な影響となって現れる可能性があります。ただ、本格的な軍事衝突にならなければ、インドやアセアンなどへの直接的なリスクは限定されると考えられます。

■今後、欧米の金融政策の変更にも注意を払う必要がありますが、米欧ともに低インフレのもとで緩やかな金利上昇が想定されること、グローバルで流動性が潤沢なことなどから、相対的に経済が健全なアジアに資金が流入しやすい環境が続くと思われます。良好な経済、企業業績、通貨がアジアの株式投資を支えると考えられます。

 

 

 

(2017年 10月 13日)

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