『さくらレポート』は4地域で景気判断を引き上げ

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『さくらレポート』は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。10日発表の10月のレポートでは、全国9地域のうち4地域で景気判断が引き上げられました。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀経済報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。

【ポイント1】関東甲信越、東海、近畿、中国の4地域で景気判断を引き上げ

輸出や生産の増勢、個人消費の回復、公共投資の増加などが主因

■10月10日、日銀は最新の『さくらレポート』を発表しました。その内容は、現在の日本経済の好調さを反映するもので、前回7月のレポートから下方修正された地域が無かったほか、全ての地域について回復している、または、拡大しているとの判断が示されました。

■景気判断の引き上げは全国9地域中、関東甲信越、東海、近畿、中国の4地域におよびました。この理由として、①電子部品・デバイス等を中心に、輸出や生産が増勢を強めていること、②耐久消費財や高額品の販売の堅調さにより、個人消費が上向いていること、③2016年度第2次補正予算の執行やオリンピック関連工事の発注に伴って、公共投資が増加していること、などが挙げられています。

 

【ポイント2】輸出の増加基調が続く

持続的な技術革新による需要増加

■今回の『さくらレポート』で前向きな判断がされた要因の一つである輸出の好調さについては、世界経済の幅広い回復が背景にあると見られます。それとともに、新型スマートフォンへの需要や自動車の電装化の高まり、IoT(モノのインターネット)などへの言及が多く見られました。これらは技術革新に伴うものであり、今後も持続的な需要拡大が期待できます。

 

 

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【今後の展開】雇用・所得環境の改善により、経済の力強さが増すことに期待

■好調な輸出や生産が続いているため、雇用環境の改善が続いています。今回の『さくらレポート』でも、全国的に人手不足感が強まっていることがうかがわれ、非正規社員の正社員化、ベアの実施や賞与の引き上げを実施した例が多数報告されています。また、インバウンドによる需要拡大や好調な金融市場を背景にしたと見られる高額品への需要の高まりも報告されています。一方、日用品などへの節約志向も続いており、雇用環境の改善が本格的な消費の拡大に結びついているとまでは言い切れない模様です。

■好調な世界経済や技術革新による需要の増加、日本の雇用環境の改善は当面継続すると見られ、日本経済の緩やかな回復傾向は続くと見込まれます。雇用・所得環境の改善が消費に結びつき、日本経済が更に力強さを増すことが期待されます。

 

 

 

(2017年 10月 11日)

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