堅調な景気と政治の安定を背景とした『ユーロ高』

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為替市場では今年に入り、『ユーロ高』となっています。この背景には、ユーロ圏の堅調な経済成長や良好な景況感があります。また、今年の欧州は「選挙イヤー」として注目されていますが、各国の重要な選挙を波乱なくこなし、また今月控えるドイツ総選挙でもメルケル首相の勝利が見込まれるなど、政治面でも安定しています。今後、ユーロ圏では量的緩和政策の縮小(テーパリング)が見込まれていることから、『ユーロ高』は続きそうです。

【ポイント1】 堅調なユーロ圏景気による『ユーロ高』

ユーロ圏の実質GDP成長率、景況感はともに高水準

 

■『ユーロ高』の背景の一つに、ユーロ圏の景気が堅調であることが挙げられます。ユーロ圏の実質GDP成長率は、2017年4-6月期が前年同期比+2.3%と、2013年7-9月期にプラス成長となって以来最も高くなりました。

■また、欧州委員会によるユーロ圏の景況感を見ると、最新(8月)は111.9と市場予想を上回って10年ぶりの高水準となっており、2012年10月を底として改善基調にあります。鉱工業の在庫循環は、年末にかけて生産の増加基調を示唆しており、今後もユーロ圏景気は堅調に推移すると見られます。

 

【ポイント2】 欧州政治の安定による『ユーロ高』

米政権の先行き不透明感や朝鮮半島の地政学リスク台頭で「米ドル安」

 

■『ユーロ高』のもう一つの背景には、欧州の政治が落ち着いていることも挙げられます。今年の欧州は、重要な選挙が目白押しで「選挙イヤー」として注目されていますが、懸念されたポピュリズムの台頭は、今のところ実現していません。今月24日にはドイツ総選挙が控えていますが、現状ではメルケル首相率いる与党が優勢となっており、こちらも大きな波乱はなさそうです。

■一方、米国のトランプ政権は、重要閣僚などの交代が相次ぐなど安定性を欠いています。また、大統領選挙時に掲げた政策も多くは遅滞しています。加えて、最近では北朝鮮の地政学リスクも高まっていることなどもあり、「米ドル安」『ユーロ高』の一因となっています。

 

 

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【今後の展開】 堅調な景気見通しと金融政策の正常化が引き続き支援材料

 

■欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、8日のECB理事会後の記者会見で、最近の『ユーロ高』について「不確実性の源になっており、監視する必要がある」と発言し、『ユーロ高』をけん制しました。しかし、この内容が『ユーロ高』に対する踏み込んだ表現ではなかったことから、ユーロは一段と上昇しました。来月のECB理事会では、堅調なユーロ圏景気を背景に量的緩和政策の縮小が発表されると見られていることなどから、今後もユーロは堅調な推移が続きそうです。

 

(2017年 9月 13日)

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