7月の猛暑と株高により好調だった『小売動向』

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『小売動向』を把握するには「商業動態統計」や、百貨店、スーパーなどの小売業界が発表する売上高等の販売統計が参考となります。8月は記録的な長雨が続くなど夏らしくない天候となっていますが、7月は猛暑により夏物商材を中心に『小売動向』は好調でした。今回は、身近な『小売動向』を通じて、今夏前半の消費動向を振り返ります。

【ポイント1】 7月は猛暑の影響で『小売動向』は好調

エアコンなどの家電や、飲料・アイスクリームなどの夏物商材が好調

 

■8月30日に発表された「商業動態統計速報」によると、7月の小売業販売額は前年同月比+1.9%の12兆2,310億円と増加しました。7月は九州北部豪雨が発生するなど、日本海側では局地的に大雨となりましたが、北・西日本を中心に月平均気温が高くなりました。こうした猛暑の影響から、『小売動向』は夏物商材を中心に好調となりました。具体的には、エアコンや扇風機といった家電のほか、飲料やアイスクリームなどの売れ行きが良好でした。また、帽子や日傘などのUV対策アイテムも猛暑が販売の後押しとなったようです。

 

 

【ポイント2】 インバウンド消費も好調さを維持

人気は化粧品や医薬品、菓子などにシフト

 

■業態別にみると、百貨店では国内市場の減少が続くなか、引き続き外国人観光客による消費(インバウンド消費)が好調で、7月は売上、客数がともに過去最高となりました。

■インバウンド消費は、家電や高級ブランド品などの爆買いから、化粧品や医薬品、菓子などの食品に変化してきています。百貨店でも、主力の衣料品が苦戦する一方、化粧品は商品別売上高で最も好調でした。こうした新たなインバウンド消費の動きは、ドラッグストアや家電量販店など幅広い業種に及んでいます。

■この他、7月は株高となったことから、百貨店では富裕層による高級輸入時計や宝飾品などの高額消費も活況でした。

 

 

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【今後の展開】 8月は真夏らしからぬ天候、秋以降の天候回復に期待

 

■7月の『小売動向』は、インバウンド消費の好調さに加え、猛暑と株高が消費を促しました。一方、8月は記録的な長雨や真夏らしからぬ天候が続いたことや、朝鮮半島の地政学リスクや米国での政治リスクへの懸念により株価が下落していることなどから、消費意欲は抑制されていそうです。ただし、経済統計によると日本の労働市場は引き続き好調であり、消費マインドの冷え込みは長続きしないと見られます。秋に入り天候が良くなれば、消費動向も回復が期待されます。

 

 

(2017年 8月 31日)

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