『第4次産業革命』を国際比較してみよう

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モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)の導入とそれを活用した企業行動や経済・社会構造の変革などを意味する『第4次産業革命』は世界の潮流となってきています。国際比較をすると、国によって『第4次産業革命』の効果が顕在化する時期や変革が期待される業種に違いがあります。2025年頃までに産業構造は大きく変化すると見られ、相対的に出遅れている日本企業の巻き返しに期待が集まりそうです。

【ポイント1】欧米企業は「情報通信」のみならず他業種・産業への波及を期待

 

■総務省がまとめた「平成29年版情報通信白書」(注)に、『第4次産業革命』(*)に対する認識等についての国際比較(日本、米国、英国、ドイツ等)が掲載されています。同革命に対する期待度は、ドイツ、英国、米国、日本の順で高くなりました。同革命による効果が顕在化する時期については、概ね2025年頃までと予想する企業が多い中、回答した米国企業の半数が既に顕在化しているとしており、米国企業の対応の早さが抜きんでている様子がうかがえます。

(注)出典:「平成29年版情報通信白書」(総務省)より作成。http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/n3200000.pdf。115~117ページ。
(*)第1次産業革命:18-19世紀初頭(軽工業の機械化)、第2次産業革命:19世紀後半(重化学工業の発展)、第3次産業革命:20世紀後半(インターネット、情報通信技術の急速な普及)、第4次産業革命:現在。IoT、AI等の発展で経済や社会構造の変革を誘発。

■変革が期待される業種は、日本では「情報通信」に集中しています。他国も「情報通信」は高いのですが、米国では「製造業(自動車以外)」、英国では「エネルギー・インフラ」、ドイツでは「製造業(自動車)」が最も高くなりました。欧米企業は「情報通信」を起点としつつも、他の業種や産業への波及を期待しているようです。

 

 

【ポイント2】欧米企業は新規事業重視のビジネスモデルを志向

 

■『第4次産業革命』の実現に向け、日本企業は事業や業務・組織の見直し、人材対策など内部要因による対応を志向しているのに対し、米国・ドイツは積極的に外部企業等との連携強化を志向しています。欧米企業は既存事業よりも新規事業重視へとシフトする志向が強いと思われます。『第4次産業革命』を機に、ドラスティックに産業構造が変化していくことが予想されます。

 

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【今後の展開】日本企業の巻き返しに期待

 

■自国以外で『第4次産業革命』の恩恵を享受する国はどこかとの問いでは、1位は米国、2位が日本、3位が中国という結果になりました。相対的に日本企業の取り組みは遅れていますが、日本企業の環境変化への対応力の高さは他国からは脅威と見られているようです。日本政府も成長戦略「未来投資戦略2017」でAIを活用した政策運営に力を入れています。日本政府、日本企業の巻き返しが期待されます。

 

(2017年 8月 7日)

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