イエレンFRB議長の『議会証言』

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米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、年に2回、金融政策に関する報告書を議会に提出し、併せて上院と下院で議長が証言を行います。金融市場では、今後の金融政策の正常化、すなわち利上げやFRBのバランスシート縮小が大きな関心事項となっており、7月12日に下院金融委員会で行われたイエレンFRB議長の『議会証言』には市場の注目が集まりました。

【ポイント1】経済は緩やかな拡大が続く見通し

インフレ率は緩やかに加速する見込みだが、不確実な点も

 

■イエレンFRB議長は、経済は緩やかな成長を維持する見通しと述べました。インフレ率については、最近の鈍化は特殊要因によるものであり、今後はFRBの目標である+2%に向かって徐々に加速すると予想しました。

■経済見通しの不確実性として、「景気拡大の持続が、いつ、どれだけインフレ率の加速につながるか」という点を挙げています。

 

 

【ポイント2】緩やかな利上げが妥当

バランスシート縮小は年内開始の予定

 

■こうした景気・物価に対する評価に加え、現状の政策金利が中立金利(景気を刺激せず、また抑制もしない景気にとって中立的な短期金利の水準)を下回っていると見られることから、FRBは利上げの継続が妥当と判断しました。

■もっとも、中立金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、政策金利を大幅に引き上げる必要はなく、今後数年にわたって緩やかに利上げをするのが適切としています。

■バランスシートの縮小(FRBが保有する債券等の資産の圧縮)については、経済が想定通りに進展すれば、年内に開始する予定と述べ、また証言後の質疑応答では「比較的早期に」と語りました。

 

 

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【今後の展開】物価の落ち着き等から、利上げは緩慢なペースとなる見込み

 

イエレン議長の今回の『議会証言』は、ハト派的な内容と捉えられたことから、ニューヨーク市場のダウ平均株価は過去最高を更新、米国債利回りは小幅に低下(債券価格は上昇)、米ドル相場は主要国通貨に対して下落しました。

米国の景気は、個人消費を支えに順調な拡大基調を辿っていますが、物価や賃金の上昇率は依然として低い水準に止まっています。このため、FRBによる利上げや、バランスシートの縮小は緩やかな速度で進められる見通しです。

 

(2017年 7月 14日)

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