米国経済と株式市場の見通し 米経済は+3%のペースに回復、株価も堅調に推移

米国経済と株式市場の見通し 米経済は+3%のペースに回復、株価も堅調に推移

 

【ポイント1】成長率は今後加速の見通し

物価は安定、緩やかな利上げを継続へ

 

(1)景気動向

■2017年1-3月期の米実質GDP成長率(改訂値)は、前期比年率+1.2%にとどまりました。暖冬という天候要因の影響によるものです。良好な雇用・所得環境が崩れたわけではありません。

■企業の景況感を示すISM指数は製造業、非製造業とも、好不況の分岐点となる50を上回っています。雇用の増加数も4月、5月の平均で+15.6万人と堅調に推移し、失業率は5月に4.3%と2001年5月以来の水準まで低下しました。

■米国のアトランタ地区連邦準備銀行が、リアルタイムの経済成長率を捉えるために開発した経済モデル「GDPナウ」によれば、17年4-6月期の米実質GDP成長率は、前期比年率+3.0%前後に加速する見込みです。

■17年の年間では前年比+2.2%、続く18年は同+2.4%程度の成長が予想されます。

(2)物価・金融政策

■景気拡大の持続により、物価上昇率も高まると考えられます。ただし、企業のコスト管理強化により賃金の上昇ペースが緩慢なことなどから、物価上昇率が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である+2%を超えるのは、18年以降になる見通しです。

■景気の順調な拡大を背景に、FRBは6月に政策金利の誘導レンジを0.25% 引き上げ1.00% ~1.25%としました。物価の上昇速度が緩慢なため、年内の利上げは年末にあと1回、0.25%が予想されます。一方、FRBはバランスシートの縮小を年内にも着手する意向を明らかにしました。

 

 

 

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【ポイント2】インフラ投資を拡大へ

トランプ大統領肝入りの政策

 

■トランプ大統領が、力を入れているのは医療制度改革法(オバマケア改革法)の成立と、インフラ(社会資本)投資を軸とする景気対策です。

■オバマケア改革については、まだ与党である共和党内のコンセンサスもとれておらず、着地が見えていない状況です。したがって、その後に控える景気対策も、いつまとまるのか不透明です。

■ただ、景気対策のうちインフラ(社会資本)投資は、比較的実現性が高いと考えられます。トランプ大統領の肝入りの政策であるうえ、財源も確保しやすいからです。トランプ政権は、インフラ投資の財源を、海外に滞留する米企業の利益に対する課税で賄うことを想定しているようです。

■予算教書等によれば、これらインフラ投資の経済効果が本格化するのは19年度(18年10月~19年9月)からとなる見通しです。

 

 

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【今後の展開】株価は景気・企業収益の拡大を織り込む展開となろう

 

■緩やかな景気拡大、低い物価上昇率が続くなか、米国株式のS&P500種指数は6月19日に史上最高値を更新しました。

■今後についても、①米国の景気は、トランプ大統領による公共投資拡大の効果等もあり、18年以降も堅調に推移すると予想される、②米国の企業業績は17年、18年とも増益が見込まれることから、今年の後半に向け、業績の拡大に沿った株価の上昇が期待できると思われます。

■なお、トムソン・ロイターズ社によれば、米国企業の予想増益率(対象はS&P500種指数の1株当たり利益)は、17年が前年比+11.4%、18年が同+11.7%と、ともに二桁の増益が見込まれています(予想は6月22日時点のもの)。

 

 

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(2017年 6月27日)

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