『EU首脳会議』、英国のEU離脱交渉は?
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『欧州連合(EU)首脳会議』が22~23日、ブリュッセルで開催されました。今回の『EU首脳会議』 は、英国とフランスの総選挙後に、EU加盟国首脳が初めて集まる場として注目されました。特に、英国のEU離脱に関して、英国がどこまで譲歩するかが最大の注目点でした。ここでは、『EU首脳会議』における英国のEU離脱交渉に焦点を当てます。 |
【ポイント1】メイ首相は英国在住のEU市民の権利保護を提案
英国は協調姿勢示す
■英国のメイ首相は『EU首脳会議』 で、英国で暮らす約300万人のEU市民の居住権などについて、基準日を設定して5年以上英国に滞在していれば離脱後も英国民と同様の医療、教育、年金、社会保障などを受けられるようにする方針をEU側に提案しました。EU市民の取り扱いは離脱交渉の優先分野であり、メイ氏は協調姿勢を打ち出しました。また、メイ氏は在英のEU市民の権利などを巡って生じる問題について、EU司法裁判所が管轄することには否定的な考えを示しました。
■英国に本部がある二つのEU機関、欧州銀行監督機構(EBA)と欧州医薬品庁(EMA)については、移転先を11月までに決めることになりました。
【ポイント2】英国の歩み寄りで一歩前進
EU側は声明文で「期待以下」
■メイ英首相が英国に住むEU市民の権利を保護すると提案したことに対して、ドイツのメルケル首相が「よいスタートが切れた」と評価するなど、交渉は一歩前進したと判断されます。
■ただし、EU側は声明文で「EUの期待以下」と評しました。EU市民の法的地位を守るのがEU司法裁判所なのか、英国の裁判所であるのか、さらにEU市民の完全な移動の自由が保障されなくなる基準日がいつなのか、家族の扱いはどうなるのかなど基本的な問題が不明なためです。
【今後の展開】EU離脱交渉は英国が妥協する方向か
■今後は、EU離脱に伴う未払い分担金を英国に求める「離脱請求書」(最大600億ユーロ規模)をめぐる協議が年末にかけて進む予定です。英国の置かれている内外の状況を考慮すれば、英国政府が徐々に妥協していく展開が想定されます。ただし、英国があまりに妥協を急ぐと、現在の脆弱な政治基盤ではメイ政権が崩壊する恐れがあるため、離脱交渉の急速な進展は期待しにくいと見られます。
(2017年 6月 27日)
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