7月に国債大量償還が迫る「ギリシャ」(欧州)

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かつて欧州債務問題の発端となった「ギリシャ」では、2015年8月から欧州連合(EU)による第三次金融支援が行われています。改革の進展から基礎的財政収支が黒字化する等、経済や財政が改善しているものの、債務残高は高止まりしています。こうしたなか、7月には国債の大量償還を控えて、追加支援が必要な状況です。5月22日のユーロ圏財務相会合では追加支援に向けた合意が見送られ、その動向が注目されています。

【ポイント1】「ギリシャ」は改革法案を議会で可決、追加支援への合意が待たれる

7月には70億ユーロ超の国債の大量償還が控えている

 

■「ギリシャ」では、2017年7月に70億ユーロ超の国債の大量償還が控えており、その支払いに向けた資金の確保が必要となっています。5月18日、「ギリシャ」議会は国際債権団から新たな融資を受けるための条件となっていた、年金支給の削減や追加的な増税を含む改革法案を可決しました。これを持って、5月22日のユーロ圏財務相会合で「ギリシャ」への追加支援や債務軽減に対する合意がなされるとの期待があったものの、この時は結論が見送られました。7月に控える償還金支払に向け、次回(6月15日)の同会合での最終合意が必要な状況です。

 

【ポイント2】EUとIMFとの間で支援に対する見方に隔たり

「ギリシャ」では改革が進展するも、債務残高が高止まり

 

■「ギリシャ」に対しては、2015年8月から第三次金融支援が行われています。第三次金融支援は、将来的に国際通貨基金(IMF)も参加することを前提としてスタートしましたが、未だIMFはこれに参加していません。IMFは、「ギリシャ」に対する債務軽減措置が必要と見る一方、EUや「ギリシャ」は足元までの経済や財政の改善を背景に当面はその必要がないとの立場にあり、見方が異なっています。

■「ギリシャ」では、改革の進展から、2016年の基礎的財政収支がGDP比+3.9%と黒字化してきています。ただし、ギリシャの実質GDP成長率は2015年、2016年とマイナス成長が続くなか、債務残高もGDP比約180%と高止まりが続いています。

 

 

 

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【今後の展開】次回会合での合意に期待、デフォルトは回避される見込み

 

■5月22日のユーロ圏財務相会合では合意に至らなかったものの、一部では次回会合での合意に近づいているとの報道もあり、市場では楽観的な見方が広まっています。次回会合で合意がなされれば、「ギリシャ」は欧州安定メカニズム(ESM)から追加の融資を受けることで、債務不履行(デフォルト)を回避できると見られています。ただし、「ギリシャ」の財務残高は高止まりが続いていることから、いずれ債務の再編も必要と見られ、今後も「ギリシャ」と国際債権団との交渉が注目されます。

 

(2017年 6月 7日)

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