「ベージュブック」、労働需給は逼迫(米国)

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「ベージュブック」は、米国に12ある地区連邦準備銀行(地区連銀)が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことです。表紙のベージュ色が名前の由来であり、経済情勢についての総合判断、主要産業の動向や雇用・物価動向などがまとめられています。「ベージュブック」は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。

【ポイント1】経済活動への評価は、「緩慢、ないし緩やかなペースで拡大」

前回4月の評価に比べると僅かに後退したが、全体観に変化はなし

 

■5月31日に公表された最新の「ベージュブック」は、4月初旬から5月下旬にかけて、経済活動は“緩慢、ないし緩やか”なペースで拡大」と総括しました。

■4月19日に発表された前回報告と比較すると、ニューヨーク、ボストン、シカゴの3地区で評価が下方修正されましたが、米国経済の緩やかな成長という全体観を変化させるほどのものではありませんでした。

 

【ポイント2】幅広い業種で労働需給が逼迫

賃金も緩やかに上昇

 

■各論を見ると、多くの地区で個人消費が軟化したのに対し、大半の地区が製造業および非金融サービスの緩やかな成長が続いたことを報告しました。住宅、商業用ビルの建設も引き続き緩慢、ないし緩やかなペースで拡大しました。一方、商業銀行の融資量は、全体の経済成長並みの速度で増加しました。

■労働市場については、需給の逼迫がより幅広い業種、地域に及んでいることが指摘されました。賃金上昇率は引き続き緩慢、ないし緩やかでしたが、労働力不足の深刻な業種では大幅な賃上げを余儀なくされているもようです。

 

 

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【今後の展開】緩やかな景気拡大、緩やかな利上げ継続の見通し

 

■今回の「ベージュブック」では、引き続き労働需給の逼迫、賃金の緩やかな上昇が示されました。一方で、個人消費の鈍化が指摘されましたが、雇用・所得環境が良好なことから、一時的なものと見られます。前回FOMCの議事要旨の内容等も踏まえると、6月13日、14日に開催される次回FOMCで、利上げが実施されると予想されます。

■米国の景気が拡大基調を維持しているため、利上げは継続されると考えられます。もっとも、物価上昇率が低い水準にあることなどから、そのペースは緩慢なものとなる見込みです。年内の利上げは6月を含め、あと2回にとどまると予想されます。今後、国債利回りは落ち着いた推移、株価は景気、業績の拡大ペースに沿った動きになる見通しです。

 

(2017年 6月 2日)

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