「ADB」年次総会は安全網を拡充(アジア)

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アジア開発銀行(Asian Development Bank、「ADB」)は、アジア・太平洋地域における経済成長及び経済協力を促進し、加盟国・地域の経済発展に貢献することを目的とした国際開発金融機関です。67カ国・地域が加盟しており、日本はアメリカと並ぶ第1位の出資国(およそ15%)です。「ADB」は1966年に創設され、今月、第50回年次総会が日本(横浜)で開催されました。日本での開催は10年ぶりです。

【ポイント1】「チェンマイ・イニシアチブ」の強化が確認された

最大4兆円の新たな取極の創設も提案

■5月4日~7日、横浜で「ADB」の第50回年次総会が開催されました。今回は、Building Together theProsperity of Asia(ともにひらく、アジアの未来)というテーマの下、前「ADB」総裁の黒田日銀総裁や麻生財務相をはじめ、各国政府や経済界の関係者など約4千人が参加しました。

■今総会に合わせて開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国の財務大臣・中銀総裁会議では、日本、中国、韓国、ASEANが、緊急時に米ドルを融通しあう「チェンマイ・イニシアチブ」(2,400億ドル規模)の更なる強化が確認されました。また、日ASEAN財務大臣・中銀総裁会議では、既存の二国間通貨スワップ取極を日本円で引き出し可能とするとともに、短期的な流動性危機に対応するため、最大4兆円規模の新たな取極の創設も提案されました。

【ポイント2】高度技術信託基金の創設を発表

高度技術の活用によりアジアの経済発展を後押し

■更に、今総会で日本は高度技術信託基金の創設を発表しました。この基金は、「ADB」が融資するプロジェクトの発掘から実施までを通して高度な技術の活用を促進するために、技術協力や投資事業、技術専門家の雇用に無償資金を提供するというものです。

■この基金によって高度技術の活用が促進されると、インフラ開発などアジアの経済発展は一段と進むと考えられます。日本はこの基金への初の拠出国となり、今後2年間で4,000万ドルを拠出する予定です。

 

 

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【今後の展開】金融の安全網拡充や新基金により、経済の安定性が増す見込み

■金融市場では、米国の利上げに伴い、新興国から資金が流出する懸念も一部であります。今総会で強化された金融の安全網は、急激な資金流出などに伴う危機に対応するものとなりそうです。また高度技術信託基金などが経済発展に貢献するとともに、金融の安全網の強化によりアジアの経済は一段と安定性が増すと考えられます。

(2017年 5月 10日)

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