FRBは「バランスシート」を縮小へ(米国)

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米連邦準備制度理事会(FRB)は、2008年のリーマンショックを契機とする戦後最大級の景気後退に対処するため、債券の大量購入によって市中に資金供給を行ってきました。その結果、景気後退前は8,800億ドルに過ぎなかったFRBの「バランスシート」は4兆5,000億ドルまで拡大しました。景気が回復軌道に乗った現在、膨らんだ「バランスシート」の圧縮がFRBの課題となっています。

【ポイント1】今年後半には国債等の再投資政策が変更される可能性

「バランスシート」正常化に踏み出す見通し

■3月14~15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、大半の参加者が「経済が想定通りに推移すれば、今年の後半には、保有する米国債および住宅ローン担保証券(MBS)の再投資政策の変更が妥当となる公算が大きい」と判断していることを明らかにしました。

■これまで満期の到来した国債、MBSへの再投資によって「バランスシート」の規模を一定に保ってきましたが、再投資が終了すればFRBの「バランスシート」は縮小に向かいます。

【ポイント2】国債とMBSを同時に減らしていくことで意見が一致

減額の速度については意見が分かれる

■議事要旨によると、国債、MBSの再投資政策を変更する場合、そのかなり前の段階で市場に伝えるべきであり、また国債とMBSの購入額減額は同時に行うのが望ましいとの見方で概ね一致しました。

■意見が分かれたのは、国債とMBSの保有額を“段階的”に減額するのか、あるいは“一度”に縮小するのか、という点です。“段階的”な保有額縮小は金融市場に混乱を引き起こす確率を低下させることができるとされた一方、“一度”に再投資を止める場合は情報発信が簡単なうえ、いくらか迅速に保有を減らすことが可能になるとされましたが、3月のFOMCでは結論には至りませんでした。

 

 

 

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【今後の展開】市場との対話が重要

■13年5月にバーナンキ前FRB議長が信用緩和の縮小開始を示唆した時は、金融市場が世界的に混乱しました。その反省に立ち、信用緩和縮小に際しては市場との対話に力を入れる見込みです。

■「バランスシート」縮小には、景気の下振れリスクが低い、金融市場が安定しているなどの条件を満たす必要があると見られます。これを踏まえると、縮小を開始するのは、今年末から来春頃と考えられます。

(2017年 4月 28日)

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