英国の「総選挙」、6月に前倒し実施へ(英国)

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英国のメイ首相は、下院を解散して6月8日に「総選挙」を実施するとの緊急声明を発表しました。声明では、政府のEUとの交渉に他の政党が反対していることから、今後数年にわたり確実性と安定を保証する唯一の方法として、「総選挙」で国民の支持を得ることが必要とされています。足元では与党・保守党の支持率は高く、「総選挙」によってメイ首相が支持を固め、英国とEUの交渉が進みやすくなると見られます。

【ポイント1】6月8日に「総選挙」を前倒し実施する声明を発表

確実性、安定性、強い指導力を得るには、「総選挙」の実施が唯一の方法

■4月18日、英国のメイ首相は、下院を解散して6月8日に「総選挙」を実施するとの緊急声明を発表し、翌19日に議会で承認されました。声明では、①昨年夏の欧州連合(EU)離脱決定(選択)後、英国は確実性と安定性、強い指導力が求められていること、②政府はEUとの新たな関係の交渉に向けた正しいプランを持っており、これが正しいアプローチで国益にかなっているにもかかわらず、他の政党がこれに反対していること、③英国は今国家的に重要な時期で、議会は団結すべきなのに分裂しており、これが英国に有害な不確実性と不安定性をもたらす恐れがあること、などが指摘されました。そして、「総選挙」をしなければこうした反対派の政治ゲームは続くとし、今後数年にわたり確実性と安定を保証する唯一の方法は、「総選挙」を行い国民の支持を得ることだと、述べました。

【ポイント2】声明発表を受けてポンドは上昇

総選挙を経て、EUとの交渉が進みやすくなる見込み

■最近の英国では、国民の過半数が現政権のEUとの離脱交渉方針を支持しており、与党・保守党の支持率が安定しているため、「総選挙」によりメイ首相が支持を得てEUとの交渉が進みやすくなるとの見方から、声明発表後、英国ポンドは対米ドルで上昇しました。

■「総選挙」実施まではEUとの交渉が滞ることになりますが、今回「総選挙」を実施すれば2022年6月まで選挙を実施する必要がなくなります。今後は英国のEUとの交渉がより柔軟に行われやすくなると考えられます。

 

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【今後の展開】選挙イヤーの欧州、波乱なくこなし、地固めなるか?

■今年の欧州は選挙イヤーとして注目されています。昨年の英国のEU離脱選択に代表されるポピュリズムの台頭が懸念されるなか、その皮切りとなったオランダでは与党が極右政党の勝利を阻みました。また、フランス大統領選挙では極右のルペン氏が決選投票に進むこととなりましたが、中道系のマクロン氏が勝利すると見られます。その後は、6月に今回サプライズで前倒された英国の「総選挙」と、9月にドイツの「総選挙」が控えています。欧州主要各国で既存政治への不満がくすぶるなか、今後も各国の政治動向が注目されます。

(2017年 4月 26日)

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