景気の拡大・回復を示す「さくらレポート」(日本)

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「さくらレポート」は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。全国9地域ごとの総合的な景気判断に加え、設備投資や生産、消費、雇用・所得等の概況が報告されます。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。

【ポイント1】北陸の景気判断を引き上げ

東海・北陸は「緩やかに拡大している」、他地域は「緩やかな回復基調を続けている」

■4月10日、日銀は最新の「さくらレポート」を発表し、北陸について前回(1月)から景気判断を引き上げました。その理由として、生産が海外向けの電子部品・デバイスや半導体製造装置を中心に増加していることや、個人消費が着実に持ち直していることなどが挙げられています。

■全体としては、東海と、今回は景気判断が引き上げられた北陸の2地域が「緩やかに拡大している」、残りの7地域では「緩やかな回復基調を続けている/緩やかに回復している」と判断されました。

【ポイント2】今回から調査対象企業の具体的な声

ハレの日にはプチ贅沢で“メリハリ消費”

■今回の「さくらレポート」から、各地域の全体感と各論で、調査対象となった企業等の声が匿名で掲載されるようになり、今までよりも具体的に景気判断の背景がわかるようになりました。

■企業等の主な声の中では、バレンタインデーなどハレの日にはプチ贅沢をする一方で、日常的には節約志向が根強く、“メリハリ消費”の傾向にあるといった指摘がよく見られました。また、衣料品については全国的に低調との声もよく見られました。

■生産や輸出については、海外景気の回復を背景に、スマホ関連や自動車関連が好調なようです。

 

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【今後の展開】生産や輸出の回復傾向が続き、雇用・所得の改善が消費を下支え

■「さくらレポート」では、個人消費は概ね持ち直しているもしくは底堅く推移していると判断されています。この背景には、雇用・所得環境が着実に改善していることがあります。雇用・所得については、全国的に建設業や小売業、タクシーや運送業のドライバーなどを中心に幅広く人手不足が報告されています。これに対し、ベアを実施したり、賞与増やパート等の時給増を始め労働条件の改善等で人材確保を図っているとの企業等の声も多くありました。今後も、生産や輸出の回復傾向が続き、雇用・所得環境の改善が消費を下支えするなど、日本経済は緩やかな回復傾向が続くと見込まれます。

(2017年 4月 14日)

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