「短観」、一段と強まる人手不足感(日本)

<今日のキーワード>「短観」、一段と強まる人手不足感(日本)

「短観」は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)と3カ月先の景況感(先行きDI)が最も注目されます。また、景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用などの状況判断が発表されます。今回の回答期間は2月27日~3月31日でした。

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は2期連続改善

先行きの景況感は低下

■日銀が3日発表した3月の「短観」は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の16年12月調査から2ポイント上昇の12となり、2四半期連続で改善しました。大企業・非製造業の同DIも20と、前回から2ポイント改善しました。また、中小企業についても上昇しており、製造業・非製造業、企業規模を問わず改善を示しました。

■一方、先行きについては、大企業では製造業が▲1ポイント、非製造業が▲4ポイント、中小企業では製造業・非製造業ともに▲5ポイントと、低下が見込まれています。

【ポイント2】業種別では外需が牽引

17年度想定為替レートは108.43円

■業種別に見ると、製造業では、はん用機械、自動車などの改善が目立ちました。米景気が回復、中国景気も安定が続き、グローバルのITサイクルが上向き局面にあるなか、外需がけん引しました。

■注目される大企業・製造業の17年度の想定為替レートは、1ドル=108円43銭でした。

 

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【今後の展開】一段と強まる人手不足感

■雇用人員判断DI(全規模・全産業ベース)は▲25(前回調査▲21)と、不足感が一段と強まりました。同DIの不足感の強まりは、昨年後半以降加速しているようにも見え、足元で広がる人手不足深刻化の声を裏付ける形となっています。

■「短観」発表後の株式市場は、小幅ながら上昇しました。先行きの景況感は低下しましたが、概ね想定範囲内で、株式相場全体への影響は限定的だったと見られます。「短観」では、大企業・製造業の17年度の想定為替レートが1ドル=108円43銭であるため、今の為替水準が続けば、企業収益の押し上げにつながる可能性が示されました。一方、雇用人員判断では、特に非製造業の人手不足が深刻な状況が示唆されました。雇用確保のための人件費増加が考えられるなか、生産性向上に向けた取り組みが期待されます。

(2017年 4月 4日)

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