“米国第一”を掲げる「予算教書」(米国)

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「予算教書」は、大統領が連邦議会に提出する予算の編成方針のことです。「予算教書」には、中長期的な財政運営の方針や対外援助、国防予算なども盛り込まれ、世界経済にも大きな影響を及ぼすことから、世界的に注目されています。「予算教書」は、政治課題を表明する「一般教書」、現在の経済情勢と経済政策を示す「大統領経済報告」と共に「三大教書」と呼ばれています。

【ポイント1】トランプ大統領、「予算教書」を公表

公表されたのは一部のみ、全体像が判明するのは5月頃となる見通し

■トランプ大統領は3月16日に、2018年度(2017年10月~18年9月)の「予算教書」を議会に提出しました。ただし、完全なものではなく、国防費や教育関係費などの裁量的支出(議会が毎年可決する歳出法案のなかで金額が決められるもの)のみを対象としています。

■米議会予算局(OMB)によれば、公的年金等の義務的支出(既に存在する法律に基づいて金額が決められる支出)や税制を含む完全な予算案の発表は、5月頃になる見通しです。なお、米国の歳出は、約3分の1が裁量的支出、約3分の2が義務的支出で構成されています。

【ポイント2】国防費を大幅に増額

“米国第一”主義を掲げる

■今回、提出された「予算教書」の表紙には、「“米国第一(America First)”米国を再び偉大にするための予算の青写真」との標題が掲げられています。

■内容は、トランプ大統領の従来からの主張通り、国防省の予算が17年度予算(実績見込み)対比10%増と大幅な増加となっています。これに対して、環境保護局が同31%減、国務省が国際援助・開発支援を中心に同29%減、教育省が同14%減などとなっています。国防支出を増やす一方、非国防支出を減らすことで、裁量的支出全体では前年度に比べ小幅減となっています。

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【今後の展開】予算確定までには相当の時間を要する可能性も

■最終的な歳出法は、議会が制定します。通常だと、大統領の予算教書を受け、上下両院の予算委員会が予算決議案を作成し、本会議に提出する流れとなります。

■今回の予算案は完全なものではないうえに、医療制度改革法、いわゆるオバマケア撤廃法案の進捗の遅れなども考え合わせると、予算が決定されるまでには相当の時間を要する可能性もあると見られます。

 

 

(2017年 3月 21日)

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