「設備投資余力」が大きい米国企業

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設備投資に在庫投資を加えた固定投資と、税引後利益に減価償却費などを加えたキャッシュフローの差をファイナンシング・ギャップ(資金差額)といいます。投資を実施するのに必要な資金のうち、どの程度を自己資金で賄ったかを測る指標です。ファイナンシング・ギャップは、米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期ごとに公表する財務勘定統計で把握することができます。直近16年10-12月期の統計は、3月9日に公表されました。

【ポイント1】投資が自己資金を上回ってきた

ファイナンシング・ギャップがプラスに転換

■FRBの財務勘定統計によると、2016年10-12月期の米非金融企業のファイナンシング・ギャップは、696億ドル、対GDP比で+0.37%となりました。前期(7-9月期)に▲246億ドル、同▲0.13%と、7四半期振りにキャッシュフローが固定投資を上回りましたが、再び固定投資がキャッシュフローを上回りました。

【ポイント2】在庫投資が増加

キャッシュフローは伸び悩み

■16年10-12月期の固定投資は1兆6,859億ドル、前期比2.2%増と6四半期振りの増加となりました。設備投資は前期の1兆6,435億ドルから1兆6,399億ドルへと0.2%の減少となりましたが、在庫投資が前期の51億ドルから467億ドルへと大幅に拡大したためです。

■一方、同期のキャッシュフローは1兆6,163億ドル、前期比3.4%の減少でした。税引前利益が1兆2,774億ドル、同1.7%減となったうえ、支払配当が6,427億ドル、同6.1%の増加となったのが響きました。減価償却費は1兆3,209億ドル、同0.7%増でした(長期間使用される資産の購入のために支払った費用を、その資産が使用される期間にわたって配分することを減価償却といいます)。

 

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【今後の展開】設備投資は今後、上向く見通し

■資金面から見た設備投資の拡大余地は大

直近の米企業のファイナンシング・ギャップは+0.37%と、1970年以降の平均+0.81%よりも低い水準にとどまっています。資金面から見た米企業の「設備投資余力」が大きいことを示唆しています。

■景気循環は上向き、設備投資も増加しよう

現在、米国は景気循環の上昇局面にあり、今後は企業利益の持ち直しが見込まれます。「設備投資余力」が大きいことから、投資も増加の勢いを増すと予想されます。

 

 

(2017年 3月 15日)

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