3兆ドルを割れた「外貨準備」(中国)

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「外貨準備」は、通貨当局(政府および中央銀行)が保有する外貨や金などの資産で、公的な対外支払いに備えたり、為替相場の安定を図る目的で外国為替市場への介入に使うことができます。現在、「外貨準備」が世界で一番多いのは中国ですが、「外貨準備」を取り崩して元買い・ドル売り介入を続けているため、14年6月をピークに減少傾向にあります。

【ポイント1】1月の「外貨準備」は約6年ぶりに3兆ドル割れ

7カ月連続の減少

■中国人民銀行(中央銀行、人民銀)が発表した17年1月末の「外貨準備」は、前月より123億ドル減って、2兆9,982億ドルとなり、11年2月以来、約6年ぶりに3兆ドルを割り込みました。「外貨準備」の減少は7カ月連続となりました。

【ポイント2】元買い介入を主因に減少

14年をピークに減少傾向

■中国の「外貨準備」はピークの14年6月に4兆ドル弱まで積み上がりましたが、その後2年半あまりで約1兆ドル減少したことになります。中国の景気減速に加え、米国の金利先高観により海外への資本流出が続いています。これに伴う急激な元安を食い止めるため、大規模な元買い・ドル売り介入を行ったことが背景です。

■元相場は対米ドルで年初に、1ドル=7元台目前まで下落しました。人民銀は元買い・ドル売り介入を続けたと見られますが、足元では「外貨準備」の減少ペースは大きく鈍化しています。

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【今後の展開】「外貨準備」の減少ペースは歯止めがかかった状態が続く

■1月の「外貨準備」の減少額は123億ドルと、12月の411億ドルから減少しており、過去の大規模な為替介入時と比べると、小幅な額にとどまっています。また、人民銀は元の下落に歯止めをかけるため、元買い介入以外では、銀行への行政指導で資本規制を強めると共に、金融政策を引き締め気味に運営しています。

■「外貨準備」は節目の3兆ドルを割り込んだものの、中国景気は積極的な財政政策により安定成長が続くと見込まれ、今後も「外貨準備」の減少は緩やかなペースにとどまるでしょう。急激な資本流出を伴う市場のリスクオフ(回避)の動きが強まる可能性は低いと見られます。

(2017年 2月10日)

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