「実質賃金」は5年ぶりにプラス(日本)

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「実質賃金」は、物価の変動を考慮した賃金のことで、厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査で見ることができます。例えば、賃金が3%増えても、物価が3%上がれば、増えた賃金で同じ量のモノしか買えないため、賃金は実質的には増えていないと考えます。2月6日に発表された2016年の「実質賃金」は、前年比+0.7%と2011年以来5年ぶりにプラスに転じました。

【ポイント1】2016年12月は前年同月比▲0.4%

名目賃金はプラスを維持

■2016年12月の毎月勤労統計によると、「実質賃金」は前年同月比▲0.4%と2015年12月以来1年ぶりに減少しました。一方、現金給与総額(名目賃金)は同+0.1%と増加しました。内訳を見ると、所定内給与が同+0.5%となったことがけん引しました。

【ポイント2】2016年通年は5年ぶりにプラス

所定内給与や賞与などが増加

■2016年通年の「実質賃金」は前年比+0.7%と、2011年以来5年ぶりにプラスとなりました。名目賃金が同+0.5%と3年連続の増加となったことに加え、円高や原油安の影響から物価が下落したことから「実質賃金」の増加となりました。

■内訳を見ると、時間外手当などの所定外給与は同▲0.6%と減少したものの、基本給などの所定内給与が同+0.2%、賞与などの特別給与が同+2.0%と増加したことが寄与しました。

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【今後の展開】労働需給のひっ迫から、今後も賃金は上昇が期待される

■安倍政権では2014年以降、経済界に賃上げを要請しており、2016年まで3年連続で賃上げが実施されました。2017年の春闘でもベースアップが要求され、2016年程度の賃上げとなる可能性があります。雇用環境を見ると、2016年平均の有効求人倍率は前年比+0.16ポイントの1.36倍と、バブル期の1991年以来25年ぶりの高水準となるなど、労働需給はひっ迫しています。また、企業収益も拡大が続くと見られます。こうしたことから所定内給与や特別給与は増加すると見られます。ただし、政府は長時間労働の是正など働き方改革に取り組んでいることから、所定外給与は減少傾向が続くと考えられます。一方、物価は原油価格の上昇や米ドル高・円安などを受けて上昇すると見られ、「実質賃金」が今後も上昇傾向となるか、物価動向と合わせて注目です。

(2017年 2月 8日)

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