引き続き良好な米国の雇用統計(2016年12月)7年半ぶりの高い伸び率となった賃金

引き続き良好な米国の雇用統計(2016年12月)7年半ぶりの高い伸び率となった賃金

 

【ポイント1】雇用者数は15.6万人増

過去2カ月で2万人弱の上方修正

■2016年12月の非農業部門雇用者数は前月比15.6万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同17.5万人増を下回りました。

■もっとも、①過去2カ月合計で1.9万人ほど上方修正された、②建設業の雇用が減少したが、これは天候悪化が原因と見られる、などを踏まえると、雇用の実勢は見かけよりも良好と評価できます。

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【ポイント2】失業率は小幅上昇

賃金は堅調に上昇

■失業率は前月の4.6%から4.7%に上昇しました。就業者数は増加(労働需要の拡大)しましたが、労働力人口がそれを上回る増加(労働供給の増加)となったためです。労働市場の悪化を示すものではありません。

■他方、賃金は前月比0.4%増、前年同月比2.9%増となりました。上昇基調にある自発的離職者(自らの意思で退職する自己都合退職者)比率が示す通り、労働需給が引き締まってきているため、賃金も緩やかに増加すると予想されます。

 

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【今後の展開】株価、米ドルは上昇

■雇用統計が公表された1月6日の米国株式市場は上昇、国債価格は下落(国債の利回りは上昇)、外為市場では米ドルが買われ、円が売られました。特にダウ平均株価は一時1万9999.63ドルと、2万ドルの大台にあと一歩まで迫りました(終値は前日比64.51ドル高の1万9963.80ドル)。雇用者数の伸びは市場予想を下回ったものの、賃金上昇率が加速したことを高く評価したためです。

■米国経済は、良好な雇用・所得環境を背景とする個人消費の順調な増加を支えに、拡大を続けています。トランプ次期政権のもとでは、これに公共投資の増額が加わるため、経済の成長ペースは一段と速まる見込みです。金利には上昇圧力がかかると見られますが、景気拡大の持続により企業利潤の増加の勢いも強まると予想されます。株価は、業績の伸びに沿った動きになる見通しです。

(2017年 1月10日)

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