宅森昭吉に聞く「2017年の景気」(日本)

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宅森昭吉チーフエコノミストは、日本の景気には少しずつ改善の動きが見えていると語ります。生産年齢人口比率の減少テンポが落ち着くにつれて、賃金や所得の改善が消費に反映されやすい環境になると見ています。また、初詣の人出や、ドラマの視聴率、人気スポーツでの日本の活躍など、身近なデータが示す景気動向にも注目しています。過去の酉年では、株高、円安となる傾向でした。はたして今年はどんな年になるのでしょうか?

【ポイント1】日本の景気には少しずつ改善の兆し

今後、ゆっくりとではあるが、賃金・所得の改善が経済に反映されやすくなる見込み

■現状の日本の景気には、少しずつ改善の動きが見えています。景気動向指数の基調判断は、2016年10月分で1年半ぶりに「足踏み」から「改善」に上方修正されました。

■消費者心理に直結する雇用や所得に関する指標には、強い結果が多く出ています。ただ、雇用や所得に関する指標は改善していても、消費に反映されていないと感じる人は多いと思います。それは2012年に始まった団塊世代の大量退職で生産年齢人口の割合が前年比で毎年1%以上減少する状態が続き、プラスの影響を受けている人の割合が減少していたからです。この減少率は2016年から縮小し、今後はゆっくりとではありますが、賃金や所得の改善がマクロ経済に反映されやすい環境となってきそうです。

 

【ポイント2】身近なデータで景気を読み解く

ドラマ視聴率や、人気スポーツの日本の活躍に注目

■まず年始では、初詣の人出に注目です。天候にも左右されるものの、神頼みをする人が増えるのは景気の行く末の不透明さを物語ります。

■今年の大河ドラマは、戦国時代を生きた女性領主の生涯を描く「おんな城主直虎」です。強い女性が主人公のドラマが大ヒットした年は景気後退局面が多いというデータがあり、この視聴率にも注目です。

■2017年3月にはワールドベースボールクラシック(WBC)が開催されます。過去の試合期間中には、日本チームが好調だと株価は上昇する傾向にありました。日本チームが世界一を奪還するような活躍をすれば、3月の株価を大きく押し上げる可能性があるでしょう。

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【今後の展開】過去の酉年では、株高・円安の傾向。はたして2017年は?

■2017年の干支である酉年の戦後の株価は、平均15%の株高となっています。この期間、酉年は5回あり、1957年を除く4回で株価は上昇しました。為替は、変動相場制に移行した1974年以来、酉年は3回あり、そのうち2回は円安となりました。また、米大統領選の翌年は、過去5回連続で円安となりました。はたして2017年は株高・円安の中で日本経済の復活の年となるのか、今後の動向に注目です。

(2017年 1月 4日)

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