今年を振り返るキーワード③ 日銀の「新たな金融政策」(日本)
<今日のキーワード>今年を振り返るキーワード③ 日銀の「新たな金融政策」(日本)
日本銀行(日銀)は今年「新たな金融政策」を2つ導入しました。まずは今年1月にマイナス金利の導入が発表されました。続いて9月には長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入しました。従来の量的・質的金融緩和に加えて、マイナス金利や長期金利のコントロール、将来の予想物価上昇率の引き上げが新しく政策に盛り込まれました。 |
【ポイント1】「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」
従来の「量」、「質」に「金利」を加えた3つの次元で金融緩和
■日銀は今年1月の金融政策決定会合で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定し、従来の「量」、「質」に「金利」を加えた3つの次元で金融緩和を進めることとしました。
■一般にマイナス金利は、預金する際に手数料を支払うことを意味します。この1月の「新たな金融政策」は、金融機関が保有する日銀当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利を適用し、かつ金融機関がマイナス金利を避けるため現金保有額を増やすことを回避する措置が盛り込まれました。大規模な長期国債の買入れを継続しつつ、マイナス金利の実効性を高め、金利全般により強い下押し圧力を加えることが目的です。
【ポイント2】「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
2%の「物価安定の目標」達成に向けて
■日銀は今年9月の金融政策決定会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました。①それまでの短期金利を対象としたマイナス金利に、長期金利を概ね0%程度となるよう操作する「イールドカーブ・コントロール」と、②マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」の2つの政策が柱となっています。
■従来の「量的・質的金融緩和」により、物価の持続的な下落は解消されたものの、日銀の掲げる2%の「物価安定の目標」は達成できていません。この9月の「新たな金融政策」では、「物価安定の目標」の早期実現のため、市場金利のコントロールと物価が上がることへの人々の信認向上が期待されています。
【今後の展開】日米の金利差拡大により、為替は円安傾向が見込まれる
■11月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比▲0.4%と、2%には遠く、日銀も物価は当面小幅のマイナスか0%程度で推移すると見ており、金融緩和政策の維持が見込まれます。一方、米国では来年は3回程度の利上げが見込まれており、内外金利差の拡大に伴い、為替は円安傾向が続きそうです。
(2016年12月28日)
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