米国の金融政策(2016年12月)1年振りの利上げ、政策金利見通しを上方修正

米国の金融政策(2016年12月)1年振りの利上げ、政策金利見通しを上方修正

 

【ポイント1】政策金利を0.25%引き上げ

経済見通しに対するリスクは均衡

■12月13日、14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、市場の予想通り政策金利(FFレート)の誘導レンジを0.25%引き上げ、0.50%~0.75%とすることを、全会一致で決定しました。利上げは昨年12月以来1年ぶりのことです。

■声明文によれば、「経済は物価安定の下で緩やかな成長を維持し、労働市場はさらに力強さを増す」見通しです。この見通しに対する「リスクは上振れと下振れで概ね均衡」と評価。以上の経済情勢を踏まえ、委員会は利上げを決定しました。

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【ポイント2】政策金利予測を上方修正

17年は年2回から3回の利上げへ

■会合後に公表されたFOMC参加者の経済予測によれば、17年の利上げ回数が前回の2回から3回に引き上げられました(18年は3回で据え置き)。

■実質GDP成長率の予測値については、16年、17年が小幅上方修正、失業率は下方修正となりました。小幅修正だったことから見て、おそらくトランプ次期大統領の経済政策の影響は、織り込まれていないと考えられます。一方、エネルギー、食品を除いたコアの物価上昇率の見通しは、据え置きでした。

 

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【今後の展開】物価の落ち着き等から、今後の利上げペースは緩慢となる見通し
■利上げそのものは市場の予想通りでしたが、FOMCメンバーによる政策金利見通しが上方修正されたため、米国の債券相場、株価は急落、為替市場では米ドルが主要通貨に対して大幅に上昇しました。特に政策金利の動向を反映する2年債利回りは、09年8月以来となる水準まで上昇しました。

■次期大統領の景気対策の効果が表面化するにつれ、米経済の成長ペースは速まる見通しです。ただし、ドル高の影響等から物価は抑制されると見られることから、利上げペースは緩やかなものにとどまると予想されます。

(2016年12月15日)

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