「日銀短観」、続く企業の慎重姿勢(日本)

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「日銀短観」は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)と3カ月先の景況感(先行きDI)が注目されています。また景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用などの状況判断が発表されます。今回の回答期間は11月14日~12月13日でした。

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は6四半期ぶりに改善

大企業・非製造業の横ばいを除き、全体として緩やかに改善

■12月14日、12月調査分の「日銀短観」が発表されました。「業況判断DI」(最近)は、大企業・製造業が+10(前回9月調査比+4)と、6四半期ぶりに前期から改善しました。米国を中心とした海外経済の回復から電気機械などが、商品市況の回復から石油・石炭製品や非鉄金属などが改善しました。大企業・非製造業は+18(同横ばい)でした。こちらは、天候不順の影響などから小売や宿泊・飲食サービスなどで悪化となりました。このほか中堅・中小の製造業・非製造業の「業況判断DI」では前回調査から改善し、全体としても緩やかに改善しました。

 

【ポイント2】想定為替レートは104.90円

足元の円安が続けば、業績上方修正も

■事業計画の前提となっている2016年度の想定為替レート(大企業・製造業)は104.90円と、9月の107.92円、6月の111.41円から一段と円高方向へ修正されました。今回の調査期間前の米大統領選挙時には一時101円台まで円が急騰しました。その後は、トランプ次期大統領の政策への期待から、1カ月でおよそ15円弱の円安が進みました。足元の円安が続けば、製造業には業績上方修正の余地があると考えられます。

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【今後の展開】足元の景況感改善の一方、先行きには企業の慎重姿勢が続く

■「先行きDI」(先行き)は、大企業・製造業が+8、大企業・非製造業が+16となるなど、製造業・非製造業の全規模で足元よりも景況感が悪化すると見られています。また、2016年度の設備投資額(除くソフトウェア、含む土地投資額)は、全規模・全産業では2015年度が前年度比+5.0%だったのに対し、2016年度は同+1.8%にとどまりました。規模別では、大企業・全産業は+5.5%と底堅い状況ですが、中堅・中小企業(全産業)では前年度を下回る見通しです。

■足元の景況感は改善しつつあるものの、期待が先行している米国のトランプ次期大統領の政権運営についての不透明感から、当面は先行きを見極めようとする企業の慎重な姿勢が続くと見られます。

(2016年12月15日)

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