「イタリア国民投票」否決、政権交代へ(欧州)

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先週末の12月4日、イタリアで上院の定数の削減および内閣不信任などの権限をなくすなどの憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、反対多数で改憲案は否決されました。これを受け、レンツィ首相は国民投票前から示唆していた通り、辞任の意向を表明しました。一方、今回の国民投票で、反EU勢力の五つ星運動が存在感を増し、今年から来年にかけて多く予定される欧州の選挙動向に注目が集まっています。

【ポイント1】国民投票で改憲案否決、レンツィ首相は辞任へ

今後は、暫定内閣の発足か総選挙へ

■12月4日、イタリアで行われた、上院の定数削減等の憲法改正の是非を問う国民投票は、全体の約60%が反対し、改憲案は否決されました。レンツィ首相は、国民投票の前から度々示唆していた通り、改憲案否決の結果を受けてマッタレッラ大統領に辞任の意向を表明しました。今後は、大統領の指名により暫定内閣が発足するか、総選挙が実施されることとなります。マッタレッラ大統領はレンツィ首相に対し、2017年予算が通過する今週後半までの首相留任を求めています。また、後任選びについては、パドアン財務相かグラッソ上院議長が有力な候補者とされています。

 

【ポイント2】暫定政権の発足が有力視

モンテパスキ銀行の再建への動きも注目

■現時点では、暫定政権の発足が有力視されています。その場合、政治の安定性は保たれると見られ、レンツィ首相が進めてきた構造改革や財政再建は新政権にゆだねられます。

■また、不良債権に苦しむイタリア大手行のモンテパスキ銀行については、年末までに市場からの資金調達を計画しています。政治の混乱を受けて投資家が慎重になると計画が進まない可能性があります。

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【今後の展開】暫定政権の政策運営に注目

■今回の国民投票では、反EUを掲げ若者に人気のある野党・五つ星運動の存在感が増しました。今後、イタリアがEUとの財政再建計画の調整にあたり、イタリア国民の負担が増すような場合には、さらに五つ星運動の勢いが増すことが考えられます。また、今後モンテパスキ銀行が市場からの資金調達が困難となり、欧州安定メカニズム(ESM)の支援を受けるような場合には、ドイツやフランスの負担が増すこととなり、来年に総選挙・大統領選挙を控える両国で反EUの勢いが強まることも考えられます。現在は早期の解散総選挙の可能性は高くないと見られ、暫定政権がいかに混乱なくレンツィ政権から交代を果たし、これまでの構造改革や財政再建の流れを引き継いでいくのかが注目されます。

(2016年12月 7日)

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