最近の新興国通貨の動向(2016年12月)経済環境の良好な国では通貨安は一服へ
最近の新興国通貨の動向(2016年12月)経済環境の良好な国では通貨安は一服へ
【ポイント1】新興国で通貨が下落
一部の国は通貨防衛のため利上げ
■米国でトランプ次期大統領が選出されたことにより、財政出動による経済対策への期待から投資資金が米ドル資産へ回帰し、新興国通貨が下落しています。
■なかでも、トランプ氏の保護主義的政策が懸念されるメキシコや、地政学リスクや対外債務の大きさなどが嫌気されるトルコは、通貨下落の度合いが特に大きく、両国は利上げにより、通貨防衛を試みています。
【ポイント2】ブラジルでは利下げ
景気回復の追い風
■一方、通貨が比較的落ち着いているブラジルでは11月30日、市場の予想通りブラジル中央銀行(中銀)が政策金利を2カ月連続で引き下げ、14.00%から13.75%としました。
■足元のブラジルの経済指標は力強さを欠き、2017年にかけての景気回復は緩慢なものとなりそうです。しかし年初以来、インフレ率が中銀の目標レンジに向かって低下してきており、10月の金融政策決定会合から始まった利下げによる景気の下支えが期待されます。
【今後の展開】新興国は経済環境の良い国が個別に選好される展開へ
■このように、メキシコやトルコのように通貨防衛のための利上げが実施されている新興国もある一方、ブラジルのようにインフレの落ち着きから利下げが可能となり、景気回復が期待される新興国もあります。トランプ氏の選出直後から、急速に米長期金利の上昇と米ドル高が進行しましたが、市場のこうした反応はやや期待先行的です。今後はトランプ新政権の人事や政策が見えてくるにつれて、金利上昇や米ドル高は一服し、再度新興国に資金が流入すると見られます。新興国のなかでも、景気回復が期待される国や、経常収支や対外債務といった経済環境の良好な国が選好されると見られます。
(2016年12月 1日)
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