米国株式市場の見通し NYダウは2万ドル台が視野に

米国株式市場の見通し NYダウは2万ドル台が視野に

○トランプ次期大統領選出後、米国株式市場と債券利回りが急上昇しています。株式市場はトランプ次期大統領の成長を呼び込む「強いアメリカの復活」に期待を寄せ、中小型株が大きく上昇しています。一方、債券市場では景気回復による物価上昇期待と将来の財政悪化懸念を背景に金利が上昇しています。
○トランプ次期大統領が選出されてからの資金の流れを投信マネーで確認すると、米国株式ファンドへ資金が流入しています。債券に集中していた資産配分に修正が加わる可能性があります。
○トランプ次期大統領の政策の具体化はこれからですが、例えば海外留保資金のみなし還流税の適用などが注目されます。海外で豊富な資金を抱えるテクノロジー企業にとって、米国内で新たな投資機会を探るチャンスとなりそうです。
○株式市場が堅調に推移する条件として業績の回復期待が重要です。企業業績は概ね減益に歯止めがかかり、ここからの回復力が注目されます。「強いアメリカの復活」期待がセンチメントを大幅に改善させ、これに企業業績の回復期待も加わることで、NYダウは2万ドル台乗せが視野に入ってきました。

【ポイント1】「強いアメリカの復活」期待で株式市場のセンチメントが大きく改善

10年国債利回りも急上昇 

■トランプ次期大統領選出後、米国の債券利回りと株式が急上昇しました。10年国債利回りは11月8日の大統領選挙投票日を起点に11月25日までに0.5%上昇し、2.36%となりました。一方、株式市場はNYダウ、S&P500、NASDAQなどの代表的な株価指数が相次いで史上最高値を更新しました。

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【ポイント2】成長期待で小型株が上昇

徐々に資産配分修正の可能性

■規模別にみると、小型株指数が11月25日まで15日連続での上昇となりました。上昇ピッチが速い点が気懸りですが、より価格変動リスクの高い小型株への投資が活発化していることから、成長期待が加速していると言えそうです。

■また、大統領選挙後の投信マネーの流れを見ると、米国株式ファンドが大幅な流入超となり、徐々に資産配分の修正が進み始めました。米国債券ファンドは長期金利が上昇しているとは言え、安定したパフォーマンスが期待でき、大きな流出とはなっていません。米国ハイイールド債ファンドは11月第3週には流入超に転じました。

 

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【今後の展開】NYダウで2万ドル台が視野に

■トランプ次期大統領の政策はまだ具体化しておらず、期待が先行している点には注意が必要ですが、米国の産業力が復活する期待はこれからも高まりそうです。例えば、トランプ次期大統領は税制改革の一環として海外での利益から生まれた資金を米国に戻す際の税金を減税する措置(*)を政策の一つとして掲げています。これが実現すれば、海外で潤沢な資金を有する大型のテクノロジー企業などは、イノベーションを推進するための買収戦略の選択肢を広げることが可能となり、株価にプラスに作用すると期待されます。(*)海外留保資金のみなし還流税

■今後、米国株式市場が堅調に推移する条件として業績の回復期待が重要です。企業業績は規模別にみても概ね減益に歯止めがかかったと見られ、ここからの回復力が注目されます。「強いアメリカの復活」期待がセンチメントを大幅に改善させ、株価上昇の原動力となっていますが、企業業績の回復期待も加わることで、NYダウは2万ドルが視野に入ってきました。

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(2016年11月28日)

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