政権交代が懸かる「イタリア国民投票」(欧州)

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イタリアでは、今週末の12月4日に国民投票が予定されています。今回の国民投票は、上院の定数の削減および、内閣不信任などの権限をなくすなどの憲法改正の是非を問うものです。この上院改革により、下院で法案が通過しやすくなることから、イタリアの構造改革の進展が期待されています。また、レンツィ首相は就任時に選挙で選出されていないことから、今回の国民投票は事実上、レンツィ氏の信認を問うものともなっています。

【ポイント1】世論調査は反対派がやや優勢

判断を保留している割合も多く、結果は未だ見えにくい

■イタリアでは、上下院がほぼ同程度の権限を有しており、両院で「ねじれ」の状態にある時など、法案がなかなか成立しません。これに対し、上院の定数を315から100へと削減し、上院の内閣不信任や予算承認などの権限をなくすなどにより、上院の権限を大幅に弱めて下院で法案を通過させやすくする上院改革の憲法改正の是非を問う国民投票が、12月4日に予定されています。

■最近の世論調査では、憲法改正の反対派が賛成派を上回る結果となっています。レンツィ首相の下でも景気があまり改善せず、失業率が高止まりする中で改革を支持しない国民が増えていると見られます。

 

【ポイント2】判断保留の割合も高い

与党の支持率はやや優勢だが、党内のまとまりはなし

■世論調査では、判断を保留している人も全体の4分の1程度いることから、依然として結果は流動的です。

■政党支持率を見ると、夏以降は与党・民主党が支持を回復しており、主な野党である5つ星運動はやや支持を落としてきています。ただし、元民主党党首のベルサニ氏をはじめ、与党内でもレンツィ首相の改革に否定的な勢力がおり、与党が一丸となって上院改革を推し進めているとは言えない状況です。

 

 

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【今後の展開】否決ならば政権交代、政治的不確実性が高まろう

■国民投票で憲法改正が否決された場合には、レンツィ首相が辞任する意向を示しているため、官僚を中心とするテクノクラート政権が誕生する可能性や、議会を解散して早期の総選挙となる可能性があります。総選挙となった場合、民主党と5つ星運動による激しい選挙戦が予想されます。反EUを掲げ、若者の人気を集めている5つ星運動が勝利した場合には、欧州各国で反EUの勢いが強まることが懸念されます。「イタリア国民投票」の結果によっては、2017年に欧州各国で予定される選挙に影響を与える可能性にも注意が必要です。

(2016年11月28日)

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