日本株式市場の見通し 日経平均株価は1万9,000円台が視野に

日本株式市場の見通し 日経平均株価は1万9,000円台が視野に

○トランプ大統領選出後、急激な米長期金利上昇と日米長期金利差の拡大を背景に円高修正の動きが一段と加速しています。円高の修正は、企業業績の改善期待に結びつきやすく日本株式市場にとってプラス要因です。
○日経平均株価の上昇ピッチは速く、警戒が必要ですが、利益と株価の関係からは割高感はありません。予想利益の上方修正も期待され始めています。
○日経平均株価と売買高の関係をみると、売買高が集中している価格帯は1万7,500円です。1万8,500円台までの価格帯に売買高が集中していますが、1万9,000円台ではむしろ減少しています。経済環境の改善に対する期待が強まれば、日経平均株価は1万9,000円台も視野に入ると考えられます。

【ポイント1】円高修正の加速が株価にプラス

日経平均株価は年初の水準に近づく

■トランプ氏が米国の第45代大統領へ選出されて以来、米ドル高・円安が進行しています。11月17日以降は110円台で推移しています。円高修正の動きが加速した背景には、トランプ次期大統領の景気刺激策の柱が財政拡大であることから、米長期金利が上昇し、日米長期金利差が拡大したことがあげられます。

■11月18日の日経平均株価は、立ち合い時間中に1万8,043.72円と一時1万8,000円台を付け、1月4日の年初来高値(1万8,450.98円、終値)に近づきました。昨年12月、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決定してから円高、株安となりましたが、ここにきて日経平均株価は大きく水準修正が進んでいます。

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【ポイント2】割高感はない

業績予想の改善が順調に進む

■米長期金利の急上昇で米ドル高・円安が進み、出遅れていた日本株は業績の改善期待を背景に値を戻しています。上昇ペースの速さを懸念する向きもありますが、割高感は強まっていません。株価が上昇する要件の1つとして、経済環境の改善期待がありますが、今回は為替水準の修正を伴っていることが大きく作用しています。企業業績予想の改善度合いをみるリビジョンインデックスは11月17日に4週間移動平均で▲3.1%、1週間の数値では▲1.8%とマイナス幅を急速に縮小させています。

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【今後の展開】1万9,000円台の壁は薄い

■市場は、トランプ大統領になることで米景気の回復と良い米長期金利の上昇を織り込みつつあり、当面は米ドル高・円安の進行が期待できそうです。日本株にとっては、好ましい環境です。ただ、トランプ次期大統領の政策はまだ具体化しておらず、期待が先行している点には注意が必要で、水準修正が一段落すれば、値動きの乏しい展開も想定されます。

■日経平均株価は最大の売買高価格帯である1万7,500円を上回ってきました。これまでの期待形成では簡単に抜けられない壁でしたが、トランプ効果によって時間をかけずに上回ることができました。価格帯の壁は1万8,000円台、1万8,500円台にもありますが、徐々に低下するうえ、1万9,000円台の壁は薄くなっています。経済環境や企業業績の改善期待が評価されれば、1万9,000円台も視野に入ると期待されます。

 

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(2016年11月21日)

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