石油「リグ」稼働状況と原油価格(グローバル)

<今日のキーワード>石油「リグ」稼働状況と原油価格(グローバル)

「リグ」とは、石油や天然ガスの探査・生産のための掘削装置のことで、作業に必要な労働者や機械類を収容することが出来ます。陸上のみならず、海底油田でも稼働でき、何千メートルといった深さまで掘削することが出来ます。「リグ」の稼働数は「リグ」カウントと呼ばれ、その動向を知ることは、原油生産企業の原油相場に対する見方や、今後の原油の供給量の見通しに役立ちます。

【ポイント1】「リグ」とは?

何千メートルも深い地中・海底の石油・天然ガスを掘削することが出来る

■「リグ」は、石油や天然ガスの探査・生産のために必要な掘削装置のことで、用途や設置場所によって様々な種類があります。陸上に設置されるだけではなく、海底油田などで使用される海洋掘削リグは、設置にはひとつのリグで100億円以上の費用が掛かるものもあります。例えば、海洋掘削リグには、掘削機器などが搭載されたプラットホームにジャッキ装置で上下に動く脚を取り付けた「ジャッキアップ型」、リグを半分ほど水中に沈めた半潜水状態の「セミサブマーシブル型」、船に掘削機器等を取り付けた「ドリルシップ型」などがあります。こうした「リグ」が開発されたことで、より深い海中の油田からも石油や天然ガスを掘削することが出来るようになりました。

 

【ポイント2】「リグ」カウント動向から分かること

原油価格や供給量見通しに役立つ

■「リグ」を稼働させるには、数カ月以上の比較的長い時間や、多額の費用を要します。企業が「リグ」を稼働させる際には、その「リグ」のコストが中期的な原油価格を前提として、採算が取れるかを考えることになります。例えば、原油価格が上昇すれば、利幅が増えることとなります。つまり、「リグ」の増加は、企業が原油価格に対してより強気な見通しを持っていると見ることもできます。

 

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【今後の展開】「リグ」カウントは増加傾向、供給量調整で原油価格は伸び悩む?

■足元では、「リグ」カウントが増加に転じてきました。今月末のOPEC(石油輸出国機構)の総会を前に、産油国の間で協調して減産する動きが報道されていますが、「リグ」カウントの増加は減産による原油価格上昇を期待したものと見ることが出来ます。ただし、「リグ」カウントの増加は、原油供給量の増加につながるため、今後の原油需要の増加を伴わなければ、原油価格は再び伸び悩むこととなります。世界経済の回復期待に伴う原油需要の動向と、OPEC総会での協調減産の行方に注目です。

(2016年11月17日)

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