米国のGDP成長率(2016年7-9月期速報値)輸出と在庫投資をけん引役に2年振りの高い成長を達成

米国のGDP成長率(2016年7-9月期速報値)

【ポイント1】成長率は加速

純輸出と在庫投資の寄与が大きい

■米商務省が10月28日に公表した2016年7-9月期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比年率+2.9%でした。市場予想の+2.6%を上回り、14年7-9月期の+5.0%以来の高い伸びとなりました。

  20161031us1

【ポイント2】個人消費は底堅く推移

設備投資は低調

■需要項目別に見ると、個人消費は前期比年率+2.1%と底堅く推移しています。設備投資は同+1.2%と、低い水準に止まりました。

■在庫投資、純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は、それぞれ+0.6%、+0.8%でした。在庫投資は在庫調整の一巡、純輸出は天候不順が続いた南米向け農産物輸出の急増によるものです。

■在庫投資と純輸出の大幅増は一過性の面も強く、7-9月期の成長率加速は景気が過熱に向かう予兆ではないと考えられます。インフレも低い水準に止まっていますが、政策面での不透明感が強いトランプ候補が大統領選挙で勝利することがなければ、12月に利上げが実施される可能性は高いと見られます。

 

 

【今後の展開】株価は、物価安定の下での緩やかな景気拡大を織り込む展開へ

■米国では、このところ長期金利が上昇してきています。米利上げが近づいてきているとの見方が強まっていることが一因です。ただし、物価の落ち着きを踏まえると、利上げのペースは極めて緩慢なものになると考えられます。米長期金利の上昇も大幅なものとはならないと見られます。

■7-9月期の実質GDP成長率が加速したにもかかわらず、クリントン大統領候補の私用メール問題が再燃した影響等により、28日の米株は下落しました。しかし、今後は依然として緩和的な金融環境の下で、景気・企業収益の拡大を織り込む展開になると考えられます。
(2016年10月31日)

印刷用PDFはこちら→

今日のマーケット・デイリー 米国のGDP成長率(2016年7-9月期速報値)輸出と在庫投資をけん引役に2年振りの高い成長を達成

関連マーケットレポート

2016年10月24日 最近の指標から見る米国経済(2016年10月)

2016年10月24日 「ベージュブック」、景気、物価とも良好(米国)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会