投資環境を考える② 「インフレ」と「金融政策」

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一般に、景気が回復し、経済が成長していく局面では物価は上昇(「インフレ」)し、逆に景気が低調なときは物価は下落(デフレ)する傾向があります。このため物価は、“経済の体温”と言われることがあります。“体温”は高すぎても低すぎても望ましくありません。各国の中央銀行は経済の適温が保たれるよう、政策金利を操作するなどして「金融政策」を調整しています。今回は、「インフレ」と「金融政策」について考えてみます!

【ポイント1】日本の「インフレ」の現状は?

大胆な金融緩和により、デフレ脱却の方向へ

■日本では、景気の低迷とともに、1999年以降、傾向として物価が下落するいわゆるデフレ状態が続いてきました。日銀は、金利の引き下げや国債買入れなどの金融緩和を行って、景気の回復、ひいては物価の上昇を図ってきましたが、なかなかデフレ脱却には至りませんでした。

■アベノミクスの下で黒田総裁の新体制となった日銀は、マイナス金利を導入するなど、金融緩和を強化してきました。この結果として生鮮食品や燃料などを除いた基調としての物価は徐々に上昇してきました。

 

【ポイント2】今後は「インフレ」局面?

身近なものはすでに物価が上昇してきている

■私たちの身近なところでも、物価は徐々に上昇してきています。例えば、食卓に欠かせない卵は、ここ3年(2013年5月~2016年5月)で17%値上がりしました。

■日銀は、物価が安定的に2%となることを目標としています。2016年9月には、新たな金融緩和の枠組みが発表されており、今後も金融緩和は継続され、物価は緩やかながらも継続的に上昇する「インフレ」傾向となると考えられます。
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【今後の展開】主要国でも落ち着いた「インフレ」と緩和的な「金融政策」が続く見込み

■他の主要国では、米国は利上げ局面ではあるものの、利上げの頻度は年に1回ないしは2回程度の緩やかなものになりそうです。欧州では、日本同様、マイナス金利などの金融緩和が続きそうです。こうした世界的に緩和的な「金融政策」のもと、世界経済は概ね緩やかな「インフレ」と景気拡大が促される見込みです。

■日本では、マイナス金利などの低金利により、預貯金だけでは資産は増えていかない状況です。こうした中、緩やかな「インフレ」傾向により、資産を預貯金だけにとどめておくと実質的に目減りすると考えられ、資産形成のためには他の資産にも目を向ける必要がありそうです。
(2016年10月26日)

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