安値を切り下げた「人民元」(中国)
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国慶節(建国記念日)の大型連休が明けた10月10日の上海外国為替市場で、「人民元」の対ドル相場の下落が加速し、1ドル=6.7元を割り込みました。その後も元安が進み、17日の元相場は対ドルで1ドル=6.73元台と、約6年ぶりの元安・ドル高水準で推移しています。今回の元安は、7月以降対ドルで安定していただけに、市場参加者の憶測を呼んでいます。 |
【ポイント1】人民元は1ドル=6.7元割れ
連休中のポンド安がきっかけ
■10月に入り、「人民元」が対ドルで急落した背景には、ドル高要因と元安要因が考えられます。ドル高のきっかけとなったのは、中国の連休中に、英国の欧州連合(EU)からの離脱が再度懸念された英ポンドが売られ、資金の逃避先としてドルに買いが向かったことです。
■また、7日発表の9月の米雇用統計は市場予想を下回りましたが、年内利上げの見方を揺るがすほど弱くもなく、米国の年内の利上げ観測が根強いこともドル高の背景です。
【ポイント2】元買い介入の後退観測
人民元のSDR入りが契機
■中国の元買い介入の後退観測が元安の背景と思われます。「人民元」は、10月より国際通貨基金の特別引き出し権(SDR)の構成通貨となりました。また、9月にはG20(主要20カ国・地域首脳会談)が開催されました。このため、9月までは人民銀行が、元相場の安定を世界にアピールするため、元買い・ドル売り介入をしていたと見られます。10月からは、人民銀行が元を買い支える必要が後退するとの見方が台頭しました。
【今後の展開】中国政府の通貨政策に変化なし
■足元の「人民元」の対ドルでの急落を受けて、中国政府の通貨政策が元安政策に変わったのではないかという観測が浮上しています。しかし、人民銀行は「人民元」の相場形成にあたり、複数の通貨からなるバスケットに対する安定性を重視する姿勢を打ち出しています。10月に入り、「人民元」は対ドルでは下落しているものの、英ポンドの下落の影響もあり対通貨バスケットでは概ね横ばい圏にあります。このことから、今のところ中国政府の通貨政策に変更はないと考えられます。
(2016年10月18日)
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