「イタリア国民投票」の日程が決定(欧州)

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イタリアでは現在、2014年2月から民主党のマッテオ・レンツィ氏が首相を務めています。レンツィ氏は、2013年12月にフィレンツェ市長から民主党党首として選出された後、レッタ前首相の辞任により、大統領からの指名を受けて、当時39歳とイタリア史上最年少で首相に就任しました。首相就任時に選挙で選出されていないことから、今回の国民投票は事実上、レンツィ氏の信認を問うものともなっています。

【ポイント1】国民投票は、12月4日に決定

憲法改正と上院改革がポイント

■9月26日、イタリア政府は上院改革のための憲法改正の是非を問う国民投票を12月4日に実施すると発表しました。イタリアでは上下院がほぼ同程度の権限を有しており、両院での多数派政党が違う「ねじれ」の状態にある時など、法案がなかなか成立せず、構造改革が進まない要因となっていると言われています。今回の国民投票では、上院の定数を現在の315から100に削減するほか、内閣不信任や予算承認の権限をなくすなどの憲法改正により、上院の権限を大幅に弱めることで下院で法案を通過させやすくする狙いがあります。このことにより、イタリアの構造改革が進展しやすくなると見られています。

【ポイント2】世論調査では見方が拮抗

与野党の支持も拮抗
■現在、複数のメディアによる世論調査では、憲法改正に対する賛成・反対、もしくはまだ分からないとしている人は、それぞれ30%前後となっており、世論は拮抗しています。

■今年初め頃まで、世論の6割程度がレンツィ氏の上院改革を支持していました。しかし、足元では野党は反対の姿勢を強めているほか、民主党・元党首のベルサニ氏が上院改革に反対する等、与党内も完全な一枚岩とはなっていません。また、与党の支持率が低下する一方、主な野党の5つ星運動は与党と同程度の支持を得ており、政党支持率も拮抗しています。

 

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【今後の展開】否決されれば、レンツィ氏は辞任の意向、政権交代の可能性も

■レンツィ氏は、今回の国民投票で支持が得られなければ、辞任する意向を示しています。今回の国民投票により、憲法改正が承認されれば、レンツィ政権は継続し、今後イタリアの改革はこれまでよりも早いスピードで進展していくことが期待されます。一方、否決された場合には、レンツィ氏は辞任し、新首相が選出され、2018年春頃に総選挙が行われる見込みです。現在、レンツィ氏の後任として有力な候補者は挙げられておらず、これまでの構造改革が滞る懸念があります。また、今年に入りイタリア景気は減速傾向となっており、政治的な混乱は避けたいところです。イタリア経済の構造改革の行方を握る12月の国民投票に注目が集まります。

(2016年10月6日)

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