上方修正された「アジア経済見通し」(アジア)

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「アジア経済見通し」は、アジア開発銀行(Asian Development Bank、以下ADB)が公表しています。ADBは、1966年に設立され今年で50年を迎えています。日本と米国が二大出資国となっており、総裁は、前任の黒田東彦氏が任期途中で日本銀行総裁に就任したことから、中尾武彦氏が残りの任期を引き継ぎ、2013年4月に第9代ADB総裁となりました。今年8月、中尾氏は11月からの次期総裁として再選されました。

【ポイント1】ADBは「アジア経済見通し」を上方修正

2016年・2017年は+5.7%成長

■ADBは2016年の「アジア経済見通し」を見直し、2016年と2017年のアジア新興国45カ国・地域のGDP成長率を前年比+5.7%としました。2015年の同+5.9%からやや減速する見込みです。ADBは、前回(7月)改定時に英国の欧州連合(EU)離脱選択などを受けて2016年の見通しを3月時点の同+5.7%から同+5.6%へ引き下げましたが、今回は3月の見通しに戻した形です。

【ポイント2】中国やインドが経済成長をけん引

中国は上方修正、インドは据え置き

■ADBは、日米欧の景気回復が遅れているものの、中国とインドの高い経済成長と外需の改善によって、アジアの経済成長は2017年に向けて拡大ペースを維持すると見ています。

■中国は、構造改革が継続されていることから2016年前半は同+6.7%成長へと、2015年の同+6.9%から減速しましたが、個人消費などが政府目標の通りに成長しています。このため、2016年は同+6.6%、2017年は同+6.4%へと、それぞれ0.1%ずつ見通しが引き上げられました。

■インドは、賃金や年金の上昇、多雨となったモンスーンによる地方の収入上昇への期待などから、個人消費が改善しており、目標の経済成長が実現可能だとして、2016年は同+7.4%、2017年は同+7.8%と、見通しを据え置きました。

 

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【今後の展開】ASEAN5は相対的に高成長を維持、2017年は+5.0%成長へ

■インドネシア、マレーシア、ベトナムは見通しが引き下げられた一方、2016年前半に好調な経済成長を実現したフィリピンやタイでは見通しが引き上げられており、これらASEAN5カ国の2016年の経済成長は総じて目標通り、同+4.8%が見込まれています。今後は、先進国向けの輸出の改善やインフラ投資の増加などが期待されることから、2017年は同+5.0%と2016年から成長が加速する見込みです。
(2016年10月3日)

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