最近の指標から見るインド経済(2016年3月)~物価は安定、利下げによる景気下支えに期待~
最近の指標から見るインド経済(2016年3月)~物価は安定、利下げによる景気下支えに期待
【ポイント1】生産減少が継続
企業の景況感には明るさ
■16年1月の鉱工業生産指数は前年同月比▲1.5%と、15年11月から3カ月連続でマイナスになりました。11月から12月に南部で発生した洪水による生産活動への影響が残っていると見られます。
■生産のトレンドが見えづらい状況ですが、製造業の景況感は16年1月に持ち直して好不況の境目である50を回復し、2月も同水準となりました。インド準備銀行(RBI、中央銀行)の利下げによる景気の下支えが待たれる局面です。
【ポイント2】物価上昇率が低下
4月に利下げとの観測強まる
■16年2月の消費者物価指数は前年同月比+5.18%と、前月の同+5.69%から低下しました。野菜など食品価格の上昇幅縮小が、主な低下要因です。物価は、景気拡大ペースが緩やかなことなどから安定しており、RBIの目標レンジ(4月以降、年+4%±2%)内で推移しそうです。
■RBIが注視するとしていた2月末発表の16年度(16年4月~17年3月)政府予算案では、従来通りの財政再建計画が確認できました。物価が安定的に推移するなか、市場ではRBIが次回4月5日の会合で利下げするとの見方が強まっています。
【今後の展開】政府の財政再建とRBIの金融緩和期待でインド市場は堅調に
■政府は16年度の財政赤字目標をGDP比3.5%と、15年度の3.9%(見込み)から縮減する計画を維持しました。また、インフラ整備なども盛り込み、国債への信用や成長期待を高める格好となりました。
■予算案の発表を受けてインド国債は利回りが低下し、ルピーは米ドルや円に対し堅調に推移しています。RBIが利下げを実施した場合、景気見通しの改善がインド市場の堅調な傾向を後押ししそうです。
(2016年3月16日)
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