「シェールオイル」業界の動向(グローバル)

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「シェールオイル」は地中のシェール(頁岩=けつがん)層に含まれる石油のことです。新たな石油掘削方法の開発により、米国を中心に近年急速に生産量を伸ばしています。この結果、米国の原油生産量は過去5年程度で2倍近くに増加し、サウジアラビアを抜き世界一の産油国になりました。最近の原油安の背景は、「シェールオイル」の増産と、それに対抗するサウジアラビアの価格戦略が大きいと言われています。

【ポイント1】なかなか減らない「シェールオイル」の生産

技術進歩と、リグ稼働が減退しないことが背景
■原油価格の下落に合わせて、北米の新たな石油油田の掘削施設数(リグカウント)は、ピーク時の4分の1に減少しています。それにもかかわらず米国の原油生産量は、ピーク時の日量960万バレルから910万バレル程度にまでしか減少していません。この結果、原油価格の下落⇒リグカウントの減少⇒原油生産の減少⇒原油価格の上昇といった、従来のサイクルが機能しないのが現状です。

■これは、技術進歩により、既存の油田からの生産が減退しないうえ、「シェールオイル」油田の中には、現在遅れて稼働し始めたものもあることが背景です。

【ポイント2】「シェールオイル」企業の決算は大幅な赤字に転落

7社合計の赤字は4.2兆円に
■一方で、「シェールオイル」企業の収益は、原油価格の下落から大幅に悪化しています。主要7社合計の純利益は、2014年の106億ドル(1兆1,926億円)の黒字から、2015年には373億ドル(4兆1,966億円)の赤字に転落しました。

■この結果、各社の財務内容は急速に悪化しています。企業によって異なりますが、現状の30ドル台の原油価格では、「シェールオイル」企業の存続は難しいとの見方が優勢です。

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【今後の展開】設備投資の縮小で今後は減産進む

2016年の設備投資は半減へ
「シェールオイル」企業の多くは、設備投資により生産量の拡大に注力してきました。収益の悪化に伴い、設備投資の削減の動きが顕著になってきました。7社合計の設備投資金額は14年の404億ドルから、15年には239億ドルに、16年の計画では125億ドルと前年比ほぼ半減になる見込みです。

今後は減産が本格化か
これに加えて今年は、稼働を待つ油田も早晩なくなると考えられます。このため、現状の原油価格が続けば、今後は米国の原油生産の減少ペースは速まる可能性があります。

(2016年3月2日)

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