欧州金融機関の「信用リスク」(欧州)
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1月下旬以降、欧州金融機関の財務悪化懸念が強まり、欧州市場を中心に銀行株や銀行が発行した債券の価格が大幅に下落しました。また信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でも、欧州銀行の債務不履行(デフォルト)に対する保証料率が急上昇しました。にわかに再燃した欧州金融システム不安は、世界の金融市場を動揺させる一因になっています。 |
【ポイント1】「信用リスク」への懸念が強まった背景
複数の悪材料が重なったことによるもの
■欧州金融機関の「信用リスク」に対する懸念が強まった背景には、年初から動揺が続く金融市場で、欧州金融機関の複数の悪材料が重なったことがあります。具体的には、新興国で積極的にビジネスを展開している英HSBCやスタンダード・チャータード銀行などに新興国の長引く景気低迷で業績不安が高まったことや、またドイツ銀行が15年決算で巨額の赤字を計上し、財務の安定性に疑念が生じたことなどです。
【ポイント2】大手銀のデフォルト懸念
市場は利払い能力を不安視
■市場で特に注目が集まったのは、過去にドイツ銀行が自己資本増強のために発行した偶発転換社債(CoCo=ココ債)です。この債券は自己資本が足りなくなると強制的に株式に転換する仕組みを持っており、投資家にはリスクが大きい反面、一般の債券よりも有利な利回りが期待できます。
■米格付け会社S&Pは2月11日、ドイツ銀行が発行する高リスク債券の格付けをシングルBプラスに1段階引き下げましたが、これも利払い不安を強める材料になりました。
【今後の展開】今回の市場の懸念はやや行き過ぎていた可能性も
■ドイツ銀行は2月12日、経営体力があることを市場に示すため、自ら発行した6,000億円規模の債券買い戻しを発表しました。また米格付け会社ムーディーズは2月15日、ドイツ銀行は今年、来年とも高リスク債券の利払いが可能であるとの見方を示しました。
■その結果、ドイツ銀行を中心とする欧州金融機関の「信用リスク」に対する懸念が後退し、足元の欧州株式市場では銀行株が反発しています。今後の展開を見極める必要はありますが、欧州の金融市場は依然緩和的な状態にあり、今回の市場の懸念はやや行き過ぎていた可能性もあります。
(2016年2月17日)
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