インドの「公務員給与」引き上げに注目(インド)

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昨年11月19日、第7次中央給与委員会は「公務員給与」などに関する答申を政府に提出しました。インドでは、約10年に1度、行政、司法、経済などの識者による委員会が設定され、政府に国家公務員の職務体系、給与、年金などについて答申します。答申に強制力はありませんが、政府は16年度予算案(16年4月~17年3月)に、答申に概ね沿った「公務員給与」引き上げを盛り込むと見られています。

【ポイント1】「公務員給与」引き上げは、景気の下支え材料に

耐久消費財や住宅など、家計の支出増への期待が強まる
■今回の答申は、今年1月1日から「公務員給与」などを全体で23.55%引き上げる内容となりました。総額1兆210億ルピー(約1兆7,700億円)で、名目GDP比0.65%となります。そのうち、政府の負担増は7,365億ルピーで、残り2,845億ルピーは鉄道会計の負担増になります。

■対象は国家公務員の480万人と年金受給者の550万人ですが、その他にも州や自治体が追随することが多いため、給与引き上げは3,400万人に及ぶとの指摘もあります。市場では、これが消費の拡大につながり、特に自動車など耐久消費財や住宅セクターが恩恵を受けるとの期待が強まっています。また、これまでと同じ毎年3%の引き上げも盛り込まれ、答申は景気や株式市場に長期的な支援材料ともとらえられています。

【ポイント2】物価や財政面に懸念

財政赤字縮減には足かせ
■「公務員給与」の引き上げは、インフレ押し上げにつながるとも受け止められました。また、政府は財政赤字を15年度のGDP比3.9%から16年度に同3.5%に縮減する計画ですが、国営企業売却などで歳入増を図り歳出増を埋めないと、赤字縮減が進まないとの懸念も浮上しています。

■こうした物価、財政面の懸念もあり、インド国債の利回りは7%台後半(10年債)で下がりにくい状況となっています。

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【今後の展開】答申通りの「公務員給与」引き上げが予算に盛り込まれるかに注目

16年度予算案は、2月29日に発表の予定
「公務員給与」引き上げによるプラス、マイナスの影響は、概ね市場に織り込まれたと見られます。2月29日に16年度予算案の発表が予定されており、答申通りの給与引き上げが盛り込まれるかが注目されます。

モディノミクスの一環としても注目
今回の答申では、健康保険制度や、実績報酬制度の導入なども盛り込まれました。国営企業の民営化推進に加え、公共セクターの活性化により経済構造改革(モディノミクス)が進むことが期待されます。

(2016年1月25日)

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