海外で取引される「オフショア人民元」(中国)

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「オフショア人民元」は、香港など海外の外国為替市場で取引される人民元のことを言います。上海など国内市場での人民元取引は、全取引の報告が必要で、中国通貨当局が厳しく管理しています。海外市場ではこうした規制が無く自由に取引されるため、「オフショア人民元」レートは国内レートよりも、市場実勢に近いとされます。

【ポイント1】海外市場と国内市場で異なる人民元レート

国内レートは、通貨当局がコントロール
■中国では、海外にある人民元を原則として国内に持ち込むことが出来ません。このため「オフショア人民元」が取引される海外市場では、国内市場とは異なる為替レートが成立すると考えられています。

■国内市場では、例えば人民元の対米ドルレートはその日の基準値から上下2%の範囲内にとどまるよう取引が制限されます。基準値は通貨当局が前日の終値を参考に決定するため、為替レートは通貨当局により誘導されやすい仕組みとなっています。

【ポイント2】香港市場に為替介入

国内レートとの乖離を狭める
■中国通貨当局は12日に、香港市場に大規模な人民元買いの為替介入を行い、海外での人民元安の進行を阻止し、国内レートとの乖離を狭めました。

■年初から中国株式市場は下落しており、その一因が人民元安による中国からの資金流出懸念でした。株安に歯止めをかけるためには、海外で取引されるレートと国内レートのいずれの為替レートも人民元高に誘導し、人民元レートを安定させることが必要でした。

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【今後の展開】海外と国内で、異なる人民元レートが当面共存

資本規制撤廃までは、2つのレートが共存
人民元に2つの市場があるのは、中国は国内で厳しく資本規制をする一方、海外で人民元の流通が拡大していることが要因です。中国は国内の資本規制を徐々に緩和する方針とされますが、資本規制が撤廃されるまでは、2つのレートが共存すると見られます。

通貨当局は海外のレートにも神経質に
海外で人民元安が過度に進行すると、通貨当局が人民元安を容認したと受け止められかねず、通貨当局は「オフショア人民元」レートに神経をとがらせる展開となっています。そのため、2つの人民元レートのかい離が拡大しない展開が当面続くと予想されます。

(2016年1月21日)

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