2016年のブラジル経済の見通し~2年連続マイナス成長へ、物価安定を優先~
2016年のブラジル経済の見通し~2年連続マイナス成長へ、物価安定を優先~
【ポイント1】景気後退が続く見込み
物価安定が景気持ち直しのカギ
■実質GDP成長率は、2015年に続き2016年もマイナスが見込まれます。物価高、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の利上げ、財政緊縮などによる内需の不振、中国など新興国経済の減速による輸出の不振が今後も景気低迷の要因となると見られます。
■中銀の金融引き締めにより物価が安定し、消費者心理の改善などを通じて景気が持ち直すには時間がかかりそうです。
【ポイント2】物価高継続で利上げ再開
景気低迷下でも金融引き締め
■消費者物価指数の上昇率は、2016年末でも中銀の物価目標(年+4.5%、2016年末まで±2.0%、2017年以降±1.5%)の上限を超えると市場では見られています。財政再建に伴う公共料金の引き上げやこれまでのレアル安の影響などが、今後も物価の高止まり要因となる見込みです。
■中銀は物価抑制を最優先としており、2016年は複数回の利上げが見込まれています。
【今後の展開】当面は利上げによる通貨と物価の安定を待つ局面
■景気低迷による税収減などから財政収支が悪化するなか、緊縮財政を主導してきた財務相が辞任し、財政再建がさらに不透明になっています。大手で唯一ブラジル国債の投資適格級を維持しているムーディーズが見通し通りに格下げを実施すると、投資適格級の格付けを失うことになります。
■景気後退、物価高、財政不安などに加えて、政治的な不透明要因もあり、ブラジルレアルは不安定な動きが続くと見られます。当面は利上げによる通貨と物価の安定を待つ局面といえそうです。
(2015年12月21日)
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