2015年を振り返るキーワード 米国の 「利上げ」(米国)

<今日のキーワード>2015年を振り返るキーワード 米国の 「利上げ」(米国)

米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、リーマン・ショックを契機とする世界的な経済・金融市場の混乱に対処するため、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導レンジを2008年12月に0.00%~0.25%まで引き下げました。その後の景気回復により、いつ「利上げ」を開始するのかが市場の焦点となっていましたが、2015年12月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)でついに「利上げ」に踏み切りました。

【ポイント1】ゼロ金利政策から脱却

労働市場の改善とインフレの安定を評価
■12月15日~16日に開催されたFOMCで、FRBはFFレートの誘導レンジを0.25%引き上げ、0.25%~0.50%とすることを全会一致で決定しました。政策金利の変更は2008年12月、利上げは実に2006年6月以来のことになります。

■声明文では、労働市場の改善が相当に進んだこと、インフレ率がFRBの中期目標である2%に向かって上昇するとの合理的な確信が得られたことを、「利上げ」の理由として挙げました。

【ポイント2】緩やかな「利上げ」を明示

市場は年2回程度を見込む
■市場が最も注目していた「利上げ」の速度については、「経済情勢から判断すると、緩やかなペースで行うのが妥当」とされました。 FOMCメンバーの政策金利予測から推測すると、2016年は年4回、合計1%程度の「利上げ」が行われる見通しですが、FF先物市場を見ると、より緩やかなペースでの「利上げ」が見込まれています。

■緩やかな「利上げ」が確認されたことで、FOMC直後の米国の株価は上昇しました。新興国の株価、為替も概ね落ち着いた動きでした。大きな波乱を起こすことなく円滑に「利上げ」をスタートさせたと評価できます。

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【今後の展開】市場は米国経済の拡大を織り込む展開へ

■米国経済は緩やかな拡大を持続
「利上げ」の速度が緩やかなものにとどまること、金利の水準が依然として低いことなどから、米国経済への影響は当面のところ限定的と考えられます。ドル高により輸出は伸び悩むものの、個人消費を軸とする内需主導の緩やかな成長を維持する見込みです。

■市場は景気拡大を織り込む展開へ
金融政策の先行きに対する足元の不透明感が払拭されたことで、株価は今後、景気、企業業績の拡大を織り込む展開になると予想されます。一方、債券利回りには上昇圧力がかかりますが、「利上げ」の速度を踏まえると、急上昇は避けられると見られます。

(2015年12月21日)

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