日銀短観と市場動向~大企業の景況感は先行き慎重、市場は原油安を警戒~
日銀短観と市場動向~大企業の景況感は先行き慎重、市場は原油安を警戒~
【ポイント1】 景況感は先行きに慎重
足元は製造業、非製造業とも堅調
■ 14日発表の11月~12月調査の「日銀短観」によると、大企業・製造業の「業況判断DI」(最近)は+12、同じく非製造業は+25といずれも前期比横ばいでした。企業業績の底堅さを背景に、足元の景況感が堅調に推移しています。一方、大企業の「先行き」の景況感は、製造業、非製造業ともに悪化の方向です。新興国の景気減速に加え、米国の利上げや地政学リスクの高まりなど外部環境の不透明感が強まっていることが背景と見られます。
【ポイント2】 下期利益計画は下方修正
通年の設備投資計画は維持
■今年度下期の経常利益計画は下方修正されました。ただし、上期の上振れ分が支えとなり年度を通してみれば、前回調査から上方修正となっています。
■堅調な企業業績を背景に、設備投資計画は前回調査からほぼ変わらずの、2ケタ増が維持されました。また、製造業が事業計画の前提とする下期の米ドル円レートは118.0円と、足元の実勢よりも円高のままであり、現状の実勢レートが続けば全体として利益の上振れ要因となる見込みです。
【今後の展開】 米利上げ開始、原油価格の落ち着きで不透明感軽減へ
■14日の日経平均株価は、前週金曜日の欧米市場の地合いを引き継ぎ大幅に下落し、11月上旬以来の19,000円割れとなりました。終値は、前日比▲347円安の18,883円でした。原油安が止まらず、関連企業の破たんや関連ファンドの清算報道が意識され、リスク回避の動きが強まりました。
■今週見込まれる米国の利上げ、原油安の影響、地政学リスクなどを巡る不透明感が軽減すれば、企業の景況感改善とともに市場の落ち着きも戻ると考えられます。
(2015年12月14日)
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