利上げを後押しする「ベージュブック」(米国)
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「ベージュブック」は、米国の12地区の連邦準備銀行(地区連銀)が管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことです。表紙のベージュ色が名前の由来であり、経済情勢についての総合判断、主要産業の動向や雇用・物価動向などがまとめられています。「ベージュブック」は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。 |
【ポイント1】経済活動は「緩やかなペース」で拡大
前回報告とほぼ同じ評価
■12月2日に公表された最新の「ベージュブック」は、「経済活動は穏やかなペースで拡大を続けている」と総括しました。10月14日に発表された前回報告とほぼ同じ評価です。今回の評価を地区別に見ると、1地区が堅調な推移、9地区が緩やかな拡大、1地区が頭打ち、残り1地区が減速でした。
【ポイント2】個人消費は増勢を持続
製造業はドル高などが抑制
■個人消費については、ほとんどの地区が増加と報告しました。特に、ガソリン安やディーラーの販促が功を奏した自動車販売の好調が目立ちました。住宅市場は、着工件数、販売件数とも増加しました。持家から賃貸への需要シフトを反映して、持家よりも集合住宅の建設の方が活況だったようです。
■製造業は地域や業種によって、まちまちな評価でした。多くの地区からドル高、海外景気の減速、資源価格の下落による需要の減退が報告される一方で、国内販売が良好な自動車は堅調さが持続しました。
■労働市場については、需給のタイト化が緩やかに進み、賃金も全般的に安定した増勢を保っているとされました。
【今後の展開】米国経済は緩やかな利上げ局面に移行する見込み
■米国経済は緩やかな拡大を持続
「ベージュブック」から判断すると、10-12月期も米国経済は個人消費をけん引役として緩やかな拡大を続け、また住宅ローンをはじめとする銀行融資も堅調に増加しているようです。
■利上げを後押し
今回の「ベージュブック」の内容は、12月15日~16日に開催される次回FOMCでの利上げを後押しするものといえます。ただし、低位で安定した物価などから、利上げのペースは緩慢と予想されます。
(2015年12月10日)
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