ロシアとトルコの「地政学リスク」(グローバル)

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11月30日、ロシアはトルコへの経済制裁を発表しました。トルコ軍によるロシア軍機撃墜事件に対する具体的な報復に踏み切りました。両国の経済関係を見ると、今回の制裁はトルコ経済のみならず、ロシア経済にも悪影響を及ぼすと思われます。また、トルコはロシア人にとって人気の旅行先です。トルコの観光に占めるロシア人のウエイトが高いことから、「サービス」を通じた両国経済への影響も懸念されます。

【ポイント1】トルコ軍機がロシア軍機を撃墜

互いに正当性を主張
■11月24日、トルコ軍機は、ロシア軍機がトルコ領空を侵犯したとして、撃墜しました。エルドアン大統領は、正当な自衛行為であると強調する一方、プーチン大統領は強い抗議を表明しました。両国共に正当性を主張する中、対立の構図は強まっています。

【ポイント2】ロシア、トルコへの経済制裁を決定

両国にとって打撃
■ロシアは11月30日にトルコからの輸入を禁止する制裁対象商品を発表しました。来年1月以降、トルコ産の果物、野菜、鶏肉、塩等17品目がその対象となります。17品目に限定すれば、影響は限定的と思われますが、すべての対ロシア輸出額がゼロとなった場合は、影響が大きくなる可能性があります。

■一方、ロシアはトルコからの輸入が対GDPで0.4%あり、トルコよりは小さいものの、ある程度の影響があると思われます。ロシア経済は、欧米からの経済制裁、原油価格の下落などから弱まる中、トルコ産農畜産品の輸入制限によるインフレ圧力の高まりや観光業への打撃が懸念されます。

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【今後の展開】サービスを通じた影響も注意

■トルコはロシア人にとって人気の旅行先です。14年はトルコの観光収入の約8%がロシア人観光客からでした。ルーブル安が続く中、ロシア人にとって、エジプトやトルコは唯一手の届く旅行先と言われていました。エジプトでのロシア旅客機の墜落に続いて、今回のロシア軍機撃墜で、どちらも訪問するのが難しくなりました。一方、トルコからみると、ロシア人観光客がゼロとなった場合、GDPを最大0.3%ポイント押し下げることになります。トルコにとっては、輸入規制に加え、「サービス」を通じた悪影響も懸念されます。

(2015年12月7日)

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