ECBの追加緩和と市場動向~追加策が期待に届かず、株安、ユーロ高の反応~

ECBの追加緩和と市場動向~追加策が期待に届かず、株安、ユーロ高の反応~

【ポイント1】預金金利のマイナス幅拡大

資産購入期限を延長
■欧州中央銀行(ECB)は3日、預金金利のマイナス幅拡大、資産購入策の期限延長と購入対象の拡大を柱とする追加緩和を決定しました。一方、政策金利や資産購入の規模を据え置きました。

■変更の理由は、2%近くとする物価目標をより確実に達成するためとされました。今回、ECBの物価見通しが下方修正されたように、このところの物価の下振れ傾向が背景です。

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【ポイント2】市場の期待に届かず

株安、ユーロ高の反応
■今回、預金金利の引き下げは小幅で、市場で一部期待された資産購入の規模拡大がなされませんでした。その結果、株価は下落、国債利回りは上昇、ユーロは対円、対米ドルで上昇し、米国や日本などの株式市場にも下落が波及しました。

■期待が高まっていた要因としては、ドラギ総裁が前回の理事会以降、再三にわたり追加緩和を示唆したことが大きいと思われます。

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【今後の展開】追加緩和の効果見極めへ

■当面はさらなる追加緩和には慎重となり、今回の緩和効果を見極める姿勢と見られます。しかし、原油価格の一段の下落や景気の腰折れなどで物価目標の達成が危ぶまれる場合は、一段の緩和が想定されます。

■各市場は、期待以下の追加策に対して短期的には不安定な展開が続くことも想定されますが、徐々に日米欧の金融政策の方向性の違いが意識される展開へと戻ると考えられます。

 ■ドイツ国債の利回りは、強力な金融緩和が続くことから、低位での推移が見込まれます。為替市場では、米国の利上げが予想され、ユーロは対米ドルで弱含み、対円では日銀の緩和姿勢から方向感が出にくいと見られます。株式市場では、強力な金融緩和と堅調な企業業績を背景に、底堅い展開が予想されます。

(2015年12月4日) 

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