最近の指標から見るブラジル経済(2015年11月)~中銀は物価抑制を最優先~

最近の指標から見るブラジル経済(2015年11月)~中銀は物価抑制を最優先~

【ポイント1】生産や景況感が一段と低迷

高金利や輸出不振などが影響

■9月の鉱工業生産指数は、前年同月比▲10.9%と、2014年3月以来のマイナスが継続したうえ、前月(同▲8.8%)からマイナス幅が拡大しました。

■10月の製造業購買担当者景況感指数(PMI)は44.1と、前月の47.0から低下しました。ブラジル中央銀行(以下、中銀)の金融引き締めや外需低迷(10月の輸出は前年同月比▲12.4%)などから、生産の低迷は続きそうです。

20151118br1

【ポイント2】中銀は高金利を当面維持

物価の落ち着きを待つ姿勢
■10月の消費者物価指数は、前年同月比+9.93%と前月(同+9.49%)から加速しました。食品・飲料が同+10.4%、電力料金が同+52.3%、自動車向け燃料が同+17.6%と大きく上昇したことなどが、全体を押し上げました。

■中銀は、9月と10月の会合で政策金利を14.25%に据え置きました。中銀は、現行の金融政策を長期にわたり維持し、物価を目標(年+4.5%)に向け抑える姿勢です。しかし、政府が補助金を削減し、電力会社に値上げを認める方向にあることなどから、市場では当面物価高が続くと見られています。

 20151118br2

【今後の展開】中銀は、レアル安には追加利上げも辞さない姿勢

■景気低迷のなかでも政府は財政再建に取り組み、中銀は物価高抑制への取り組みを最優先に進める姿勢です。しかし、財政再建が物価高の一因になるなど、難しい情勢です。

■こうした国内要因に加えて米国の利上げ開始が見込まれ、ブラジルレアルには当面下押し圧力がかかりやすい状況です。レアル安には中銀が利上げも辞さないとしており、中銀の政策が下支えしそうです。

(2015年11月18日) 

印刷用PDFはこちら→

今日のマーケット・デイリー 最近の指標から見るブラジル経済(2015年11月) 中銀は物価抑制を最優先

関連マーケットレポート

2015年11月  6日 財政と物価の懸念解消を見極めへ(ブラジル)

2015年10月22日 ブラジルの金融政策(2015年10月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会